TIVONA通信
TIVONA通信第11号

気分転換<?xml:namespace prefix = o ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:office" >
人間の心の起伏(振幅)は誰しもあるもの。高まったり、低まったり。それが、長かったり、短かったり。しかし、平均すると誰しも同じ様なものと思われます。その振幅が長すぎたり、大きすぎたりすると病気と診断されるのでしょう。
前回のTIVONA通信で書いたものが、本人も自覚していたのですが、少し暗すぎると言ってくれた人がいまして、ありがたいことだと感謝している次第です。と申しますのは、ほとんどだれも読んでいないのかな?と思っていたのと、私を心配してくれている他人様も居たということが分かったからです。本当にありがとうございます。
そんなわけで、今日は明るい話をいたします。私の気分転換、その1。今の状態が一生続くわけではないと思うこと。多少気分の悪いことやいやな人と会っても、そのうち状況は変わると考える。その2。すべて時間が解決してくれる。どんな事柄も時間の関数で変化していくので、今のままでいるわけがない。たとえ不十分な状態でも、見切り発車をして、その段階で無罪放免となってしまう。その3。完全性をあまり追求しない。これは、特に他人に対して。自分に対しては元々不完全が明白である。こうすると優しい人になれます。
これを日本語講座に当てはめてみますと次のようになります。この生徒さんも、思ったとおりに覚えてくれないが、だんだんと力を付けてくるはずだ。言葉の並びや、てにをはもめちゃくちゃだが、もう少し経てばきっと良くなるであろう。これが結構長く続く場合があります。ここで、どこまで正しく(又は、厳しく)教えられるかで葛藤することになります。みなさんはいかがでしょうか。
10月からまた新しいクラスが始まります。どんな出会いがあるのでしょうか。楽しみです。
(小須賀 洋)
シンポジウム報告
文化庁主催の「これからの日本語を考える」シンポジウムが7月30日、昭和女子大で開催され、谷津さん、林さん、宮本さん、松井の4名が参加した。全国から日本語教育にたずさわるボランティア、日本語学校関係者、外国人居住者をかかえる自治体の担当者たちが集まり、会場は熱気にあふれていた。第一部は「外国人とコミュニケーション」というテーマで、水谷修国立国語研究所長を司会者に、加藤秀俊日本語国際センター所長ら数名のパネリストによるディスカッションが行われた。さまざまな意見の中で、おおむね共通していたのは、日本語教育というと、とかく文法重視の難しいものという概念を持ちがちであるが、言語というのはコミュニケーションの一方法であることを考え、話し言葉をもっと重要視する必要があるのではないかということであった。外国人パネリストからは日本語の持つあいまいさを理解するためには、社会文化能力を高める指導の必要性が指摘された。又別のパネリストからは、教えて育てるという考えではなくて、共に学んで育つという考えの大切さも述べられた。第二部は文化庁の平成7年度、8年度の地域日本語教育推進事業のモデル地区に指定された太田市と川崎市、山形市と浜松市からの報告があった。中小企業で働くブラジル出身者を中心とする日系外国人労働者が多い太田市、在日韓国・朝鮮人が多い川崎市、中国からの帰国者と国際結婚による外国人が多い山形市、楽器、オートバイなどの大企業で働くブラジル、ペルー日系外国人の多い浜松市がそれぞれその特性故の問題点、今までの取り組み方、指定を受けてからの事業展開の経過等が報告された。どの市でも日本語の講座はボランティアを中心に行われており、そのためのボランティア養成講座が設けられていた。モデルに指定された都市はいずれも定住者や長期滞在者を対象にしており、我々の日本語講座のように受講者の過半数が研究や留学のための短期滞在者である場合には、それなりにまた異なった取り組みが必要と思われた。
(松井友子)
日本語教育研究協議会報告
第4分科会「日本人と在住外国人との理解、連携」に参加して
文化庁主催の日本語教育研究協議会が去る7月31日、昭和女子大で開催された。同庁文化部国語課長大島有史氏の挨拶で始まり、約200名の出席者であった。その後11:00~16:30まで次の6分科会で熱心な質疑応答が行われた。第1分科会〔日本語教育と国語教育との連携」、第2「日本語教育と英語教育との連携」、第3「日本語教育と他分野:開発教育との連携」、第4「日本人と在住外国人との理解、連携」、第5「日本語教育とネットワーク」、第6「日本語教育とマルチメディア」。私の出席した第4分科会は立大教授田中望氏の司会で、小林悦夫氏(中国帰国者定着促進センター教務課長)、桑山紀彦氏(山大精神神経科医、JVC山形事務局長)の発表があった。午後第4分科会は更に4グループに分かれ、私共のグループは日本語教育は必要かというテーマ設定の下、活発な討論となった。田中先生は小諸市で定住外国人の調査をしておられる。ここでの活動は日本語を教えるよりもむしろ野外パーティや工房(食器つくり、パッチワーク)を通じて日本語を学べばよいと思っている由、全体の印象としては、日本語教室は外国籍の人を日本社会に受け入れる媒体として必要である。地域によっては言葉ばかりではなく子供の教育、生活全般の問題、精神面のカウンセラーとしても対応しているなど重層的なものとなっている。日本語教室の運営は行政の支援も必要で、行政、ボランティア、専門教師の協力連携が重要である。
(高橋桂子)
第6分科会「日本語教育とマルチメディア」に参加して
前半は「インターネットと日本語教育」についてであった。現実にはインターネットがどれだけ語学教育に効果的であるかはまだ何とも言えないというのが現状である。しかしだからといって研究しない手はない、というのが結論であった。教材サンプルも見せていただいたが、本格的に完成させるとなると、たとえ技術的には簡単でも、やはり膨大な時間がかかるとことだった。後半は映画「釣りばか日誌」のコンピューター教材を皆で評価し、改善策の意見交換を下。参加者は、大学研究機関、日本語学校の教師らが多く、活発な意見交換が行われた。皆から、教材の設問に人物の気持ちや行動の理由を問うものが多く、学習者が疲れるのではないか、という意見が出たとき、「外国人の立場から言うと、外国人は非常にそのような質問が好きです!」と、外国人の参加者が言いだして、皆で楽しく笑い転げる一幕もあった。もちろん「日本語教師の思い込みに注意」と気づかせてくれた彼に皆で内心拍手を贈ったことと思う。
さて、このような試行錯誤を経て完成をめざすこの教材の利点は、映像を通して人間関係のシチュエーションを理解しながら、文法、語彙解説つきで、自由に会話を学べる、という点である。この教材の完成版発売が楽しみである。
(鈴木修子)
このシンポジウムと協議会の資料が財団の蔵書コーナーに資料としてありますので、興味のある方は、どうぞご覧ください。
「衣川隆生先生」講演会について
今回の講演は「地域に根ざしたオリジナル教科書づくり」という題目で行われました。先生が名古屋にいらした頃の教科書をつくられた経験に基づいて、以下のようなアドバイスをしていただきました。
まず、学習者がどういった生活の課題を抱えて「つくば」で生活しているのかを知る必要がある。
教科書づくりのための調査はボランティアだけがするのではなく、外国人と一緒に行い、どういう点で困難を感じているのか、どういった情報が彼らの助けになるのかを把握する。
教科書は、つくばに来たばかりで日本語が分からない外国人のためのものである。そのため、つくばに来たばかりの外国人にすぐに役立つものでなければならない。具体的には、休日や夜間にも診てもらえる病院の名前、電話番号、場所、体の症状をお医者さんに伝えるための、日本語を書くなどして、日本語が分からない外国人がその教科書を使って、すぐに診察を受けられるようなものにする。
また、買物をするとき外国人は「これはなんですか」とは聞かず、「これは塩ですか」のように質問する。救急車を呼ぶときに電話口で消防署の人がいうのは、「目印はありますか」ではなく「目標はありますか」「案内に立ってください」である。
私も教科書づくりに参加しようと思っているので、衣川先生の具体的なアドバイスはとても参考になりました。私達のできる範囲で、外国人の方々に役に立つものを作りたいと思います。
(渡部真由美)
衣川先生から本をいただきました
今回の講演会講師の衣川先生から、オリジナル教科書を作るための参考資料として、先生が、以前に名古屋で行った、オリジナル教科書作りに関する活動報告書をいただきました。「東海日本語ネットワーク活動報告書第2号」と「共に生きる地域社会を考える-活動報告書」の2冊です。財団の蔵書コーナーに加えましたので、どうぞご利用ください。
(吉波信子)
第3回学習会~中級クラスにおける問題点について~報告
今回は15名程の出席者と衣川先生と共に中級について話し合いました。
1.同じクラスの中でレベルが違ったり、習いたいと思っていることが違ったりする。その調整をどうしたらいいか。例えば、文字が読めるが話せない。話すチャンスがない人や、話せるけれど文字が読めない、書けない、漢字を勉強したいと思う人等が混在している。
これはどんなクラスにも共通して出てくる問題ですので関心が高く、多くの意見が出ました。
(1) |
現在ある中級、初級、火曜、水曜のクラスを、生徒のニーズや目的に応じて4つのクラスに分けてもいいかもしれない。 |
(2) |
ある学習者は、町にある公文式の塾で、ひらがな、カタカナ、漢字を習ったら、短期間でめざましく上達した。(外国人用の教材がある。) |
(3) |
衣川先生によると、筑波大にきている留学生達は、所属する研究室等によって、漢字に対するニーズが異なる。そこでニーズの程度に応じて、4つのクラスに分けたら以前よりずっと不満が減った。また、漢字の書き順については、基本的には40くらいあって、それぞれに意味があるので守ったほうがいいから、ひととおりは教えるが、そんなにこだわる必要はない。それより似ている文字のどこがどうちがうのか教えるほうが大切である。というアドバイスでした。 |
(4) |
読み方を習いたい学習者に読み物を提供する時には、
|
(5) |
生徒たちは最初、必ず漢字が習いたいという、そこで教材を作って渡すが、そのままにしてやってない人が多いと思われる。提出させるのも、強制しているようでよくないかもしれないし。結局は本人の意志が強くないとできないかもしれない。 |
2.テキストを真面目に進めて終わらせるのがいいか、生徒の弱点も時々、時間をさいて、やったほうがいいのか迷っている。
私のクラス(中級)は、ある程度話せるが細かいところになると、あいまいなところがあるという人が多い。こういう場合、テキストを中心に講師側が教えるというより、生徒さんたちに多く話してもらって、間違ったところがあったら直すという形でやっている。
3.現在は、テキストに載っていそうな言葉を教えているが、実用的な言葉(日常会話の生き生きとした言葉や、男言葉、女言葉)を、どの段階でどのように教えたらいいか。
例)ごはん食べましたか → ごはん食べた? 映画に行きませんか → 映画行かない?
どんな時も、また誰に対してもフォーマルな会話しかできない。あるいは、インフォーマルな会話しかできない人がいるが、学習者にとって両方とも非常に大切である。そこで、
(1) |
早い段階から、場面や人間関係を呈示しながら、テープや口頭で、くりかえしくりかえし、聞かせることによって、その区別を理解してもらう。 |
(2) |
当講座は講師がバラエティに富んでいて(主婦、学生、先生、男性、女性)いいかもしれない。学習者は講師同士が話しているのを聞いて理解することもできる。今後も講師の組み合わせを偏らないようにしてゆくのがいい。 |
(3) |
「年下の人からインフォーマルな言葉をいわれたがどうしてなのか。」という質問が出たが年齢の違いがあっても親密な間柄の場合はインフォーマルな会話もあると答えた。 |
4.中級は会話が楽しくなる時期で、この時に学習者が、どんな事に興味をもっているか、また困ることなど問題はあるか。
5.文法的なこと(例 テ形)をどのように教えたらいいか。
例文をいくつか出して理解してもらうといい。
6.媒介語を使わないで教える方法
媒介語はなるべく使わないほうがいいが、学習者全員の共通の言語がある場合は、理解を早めるために、とても便利である。が、共通の言語がないのが普通である。今までの経験から生徒同士で助け合っている場面が多い。
7.抽象的な言葉をどうやって説明するか。
今回は、グッドアイデアは出なかった。いい経験談をお持ちの方は、是非、意見をお寄せください。
8.講師の分担の仕方
今回は新たな意見は出ませんでしたが、以前の学習会で出た意見は、講師相互のコミュニケーションを持つことがとても重要で、必ず事前の打合せをし、各講師の得意な分野を把握し合って、役割分担を決める。
9.その他
- 全クラスに通じることですが、各クラスでどこまで教えたらよいか明示されていないのでよくわからないので教えてほしい。
教科書をみれば、大体のところはわかる。また、財団の和室に、今までの記録「第○○期日本語講座の記録」が置いてあります。担当者はその記録を参考にしたり、前の担当者に聞いて下さい。
現在の担当者の方々は、家に持ち帰ってもいいですから、できるだけ詳しく(ただし、負担にならない程度に)記入してほしい。又副教材を作ったり、使ったりしたら、そのコピーを次の人のために添付しておいてもらえると、とてもありがたいと思います。
今回、適切な回答を出すのが、困難な議題もありました。講師の皆様が、日々、悩みながら感じている問題点やうまくいった時の喜びなどの経験談を今後も出していって頂ければと思います。
(林はる子・宮本まゆみ)
~新しい仲間の紹介~
久世英里子(くせえりこ)さん
出身地:京都府 職業:大学生
水曜日 入門クラス
初めまして。私は今、筑波大学の日本語・日本文化学類で日本語教師になるために勉強しています。日本語や日本の文化を、一人でも多くの方に知ってもらいたいと思って、この日本語講座に参加しました。まだ始めたばかりで戸惑うことも多く、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、自分なりに一生懸命努力していこうと思っています。クラスの生徒さんや先生方と協力して楽しい授業にしていこうと思うのでどうぞよろしくお願いします。
関 純子(せきじゅんこ)さん
出身地:下妻市 職業:パートタイマー
火曜日 中級クラス
私は大学を卒業してから2年間程、いわゆる「家事手伝い」という事で、華道や茶道などの習い事をしていました。でも、そういう狭い世界にいては自分の新しい興味や可能性を見つける事など出来ないのでは、と思い、仕事に行き始め、その職場の友人にこの教室の事を聞き、ぜひやってみたいと思いました。生徒の方が少しでも楽しく、そして上達出来る様に、大学受験依頼の辞書を引っ張りだして頑張ろうとはりきっています。
高橋久子(たかはしひさこ)さん
出身地:茨城県 職業:塾講師
火曜日 入門クラス
私が日本語講座の講師になろうと思ったきっかけは二つあります。一つは、色々な国の人たちとの触れ合いの場を持ちたかったことです。そういった交流は、私の旺盛な好奇心を、満足させてくれるでしょう。また、もう一つは、日本語を教えるということに、大変興味があることです。今は、日本語を教えることに、何の経験もない私ですが、とにかく、楽しい授業をするよう心がけ、一人でも多くの人に、日本語を好きになってもらいたいと思います。
中山京子(なかやまきょうこ)さん
出身地:茨城県 職業:会社員
火曜日 入門クラス
皆さんはじめまして。今期で2度目の日本語講座ボランティア講師です。今期はどのような出逢いがあるだろう、クラスが始まる前からワクワクしています。昨年1年間トロントの日本語学校で講師として働いていました。初めての海外生活は不安と期待でいっぱいです。このクラスに参加される生徒さんを少しでもよく理解し、経験を生かし、楽しいレッスンプランで、皆さんと一緒によい時間にしてゆきたいと思っています。よろしくお願いします。
野口裕子(のぐちゆうこ)さん
出身地:茨城県 職業:研究所パート
火曜日 初級クラス
語学に興味があり、自分の視野をもっと広げてみたいという多少利己的な動機から日本語講座ボランティア講師に申し込み、第9期から参加させて頂きました。しかし私はまるで生徒のように他の先生の言う事や生徒さんが話してくれるそれぞれの国の話に聞き入ってしまい、教えると言う事を忘れてしまいがちでした。生徒さんにはさぞ頼りない先生に見えたことと思います。これからはもう少しでも頼れる先生になれるよう心がけ、楽しく効果的な授業を目指したいと思っています。
~お便りコーナー~
いつも、会報を送っていただきまして、どうもありがとうございます。現在、海外青年協力隊員としてタイで日本語を教えています家内、田幡美江子(=旧姓富沢)には、私から転送しています。皆さんが作られた会報を、家内も楽しみにしていますので、今後とも送っていただければ幸いです。会費等必要でしたら、お申し付けください。振り込ませていただきます。
(横浜市 田幡秀之)
TIVONA通信を送っていただき有難うございました。皆様の御活躍の様子が目に見えるようです。だんだん若い方が増えると活気があることでしょう。大木さんにはおめでとうございますとお伝えください。三人のお子さんのママなんですね。こちらの滞在もあと9カ月になりました。だんだん忙しくなります。お元気で。
(マレーシア 中井一枝)
女の赤ちゃんが生まれました。3,956gのbig babyです。つくばで育てたいのに・・・と残念です。水戸には引っ越しますが、つくばの催しには、ちょくちょく参加するつもりなのでこれからもよろしくお願いします。
(水戸市 酒井愛子)
教材調査で購入した本の紹介
平成9年8月31日(土)に教材調査のため、麹町の凡人社に行ってきました。今回は、入門、初級クラスの教材を中心に15点購入しました。財団の蔵書コーナーに置いてありますので、どうぞご利用ください。
(宇都木淳子・吉波信子)
- 絵でマスター にほんご基本文型85
- 絵とタスクで学ぶにほんご/絵とタスクで学ぶにほんご テープ
- INTERMEDIATE KANJI BOOK VOL.1 漢字1000plus
- 日本語かな入門 英語版/中国語版/スペイン語版
- 楽しく読もう・/・ 文化初級日本語読解教材
- 日本語教育演習シリーズ・ さまざまな表現vol.1
- 日本語教育演習シリーズ・ さまざまな表現vol.2
- 日本語教育演習シリーズ・ 教え方の基本
- 入門日本語 発展編 テープ
- くもんのせいかつ図鑑カード マーク標識カード/たべものカード
編集後記
ずいぶん秋らしくなって来ました。つくばの東大通りや西大通りの木々が色づくのも間もなくでしょう。かつて講師の仲間であった方々が日本国内はもとより世界のあちこちに散って、現地で頑張っておられます。そんな方達から折りにふれてお便りが寄せられ、途切れることのないきづなを感じますと共に、このTIVONA通信がその一助となっているのでしたら、これほどの幸せはありません。
TIVONA通信第12号

今、TIVONAの会では・・・
第11期日本語講座が10月から始まり、現在87名の受講生が10クラスに分かれて学んでいます。どのクラスからも楽しい笑い声が沸き上がり、和気あいあいとした雰囲気がうかがえます。
今年4月に文部省から当日本語講座に対して補助金をいただけることになり、どのようなことに利用するかということを臨時総会に計って、講演会4回とオリジナル教科書(入門用)作成に使うことになりました。さっそくメンバーが募られ、目下数回の会合を持ち、作業が進められています。
1月にはTIVONAの財政を潤すことになればと有志数名がフリーマーケットに参加し楽しい一日を過ごしました。
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右脳アナログ系日本語教育法考
先日、とある三日間の研修会に参加する機会を得て、興味深い話を聞きました。講師は医学の経験を備えており、講義の中でしばしば脳の断面図やその機能について説明されました。その中で、言語についても触れられていました。脳には左脳と右脳があってそれぞれ働きが異なっているそうです。
左脳は、時間、記憶、言葉、数、順序付け、etc.のような機能を持っていてアナログ系。日本語は、言葉に抑揚やアクセントがなく、あっても非常に弱いのでディジタル信号と同じで、左脳に支配されている。それに比べ、ロマンス語系の英語やフランス語、スペイン語などは、私たちでは、恥ずかしくてできないような、強い抑揚やアクセントを持って話されている。つまり踊りや歌のようなジャンルに入っている。したがって、右脳に支配されている。
私の考えでは、アルファベットのように、量的に少ない表音文字しか使わない言語では、抑揚やアクセントが個々の単語の違いを明確にする一助となっているのではないでしょうか。そのときに思ったもう一つのことは、スペイン語やドイツ語の名詞にある(冠詞や形容詞にも影響する)性(男性、女性、中性)も少ない文字数で表現を豊かにしたり類似の単語を識別するための工夫からきているのではないかということです。
受講している生徒さんの中で、なかなか日本語の世界に入って来れない方がいますが、もしかしたら、右脳をめいっぱい使って日本語を覚えようとしているのかもしれません。そんな場合、私たちも抑揚やアクセントを少し強めにつけて教えるようにしてはどうでしょうか。大変流ちょうに日本語を話される外国人の中で、よく聞いていると、アメリカ人は、何となく英語風の日本語を、中国人は中国人風の日本語を話しているような気がします。
(小須賀 洋)
教科書作りがスタートしました!
日本語講座が始まって以来の希望であった、私たちのオリジナル教科書作りがこのたびやっとスタートしました。と言っても、まだまだ思考錯誤の段階です。これからも皆さんにお手伝いしていただくことがあるかと思いますが、そのときはよろしくお願いいたします。
(宇都木淳子)
~初めてのフリーマーケット~
11月半ばの日曜日、私は押し入れを整理して見つけておいた、食器などを持って、桜運動公園へ向かいました。会場では、畳1枚分ほどのビニールシートの上に、古着や食器、本などを並べている人が大勢いました。私も早速、品物を取り出し、並べながら「これが全部売れると、押し入れはすっきりするし、TIVONAの会は潤うし、一石二鳥だな」と皮算用していました。張り切って、お店を開いたものの、お客さんはなかなか来ません。来ても見るだけなので、ようやく、売れた時には、嬉しくて、皆で歓声を上げました。値下げをしたり、自分たちで買ったりして、売り上げは約1万円でした。私が持って行った品物の中で、売れたのはかさの低い物だけで、また重いダンボール箱を持ち帰りました。「今度はもっと人の多く集まる所でお店を開きたい」とフリーマーケットの楽しさを知った1日でした。
(山田恵子)
TIVONAの会「日本語ボランティアのための講演会」のお知らせ
今回はシリーズ講演会ということで、日本語指導の具体的な方法について、3人の先生方に4回連続でご講義いただくことになりました。なお恒例となっております学習会は、2月28日(土)講演会終了後に行います。講演会と学習会のアンケートと出欠については、後日送付させていただきますので、ご協力よろしくお願いいたします。
「教科書分析について」
日 時: 2月7日(土)14:00 ~ 15:30
場 所: 春日公民館
講 師: 筑波大学留学生センター講師 小野 正樹
「音声教育について」
日 時: 2月14日(土)14:00 ~ 15:30
場 所: 春日公民館
講 師: 筑波大学留学生センター講師 戸田 貴子
「具体的な授業準備と授業の実施について」
日 時: 2月21日(土)14:00 ~ 15:30
場 所: つくばインフォメーションセンター
講 師: 筑波大学留学生センター講師 衣川 隆生
「具体的な授業準備と授業の実施について」
日 時: 2月28日(土)14:00 ~ 15:30
場 所: つくばインフォメーションセンター
講 師: 筑波大学留学生センター講師 衣川 隆生
(小林和子・林はる子・吉波信子・宮本まゆみ)
これから行われる他の日本語教育関連の講習会のお知らせ
日本語ボランティアのための講習会が行われます。参加費はいずれも無料となっています。お時間のある方は、どうぞ足を運んでみてください。こちらの講演会についてのお問い合わせは、つくば市企画部国際文化課(tel. 029-836-9449) までお願いいたします。
「分かる」「喜ぶ」指導法
日 時: 1月17日(土)13:30 ~ 15:30
場 所: 春日公民館
講 師: (財)波多野ファミリースクール大蔵 守久氏
演題:未定
日 時: 1月24日(土)13:30 ~ 15:30
場 所: つくばインフォメーションセンター
講 師: (TIJ東京日本語研修所高柳 和子氏
(吉波 信子)
私の推薦図書(財団蔵書より)”はじめての日本語教育2「日本語教授法入門」”
高見澤孟 著 アスク講談社 定価1,845円
日本語を教える事は、入口が広く、入りやすいが、中に入ると迷路の様で、頭を痛めることが多い。生徒のレベルや、一人一人の性格、男女比、出身国などの違いにより、同じ様な心構えで臨んでも全然違った展開になる事がよくあります。おもしろい半面、予測がつかないので毎回クラスが始まる前は緊張します。
この本は先生になりたい人や、まだ勉強中の先生にとって本当に親切に心構えから、実際の教室運営、日本語教育の知識や教え方まで示してくれている。読むたびに実践してみたいというヒントが見つかり楽しいのでお勧めします。
(川辺千恵子)
~クラスの様子~ 水曜日 中級・クラス
私は29才のフィリピン人です。日本人とけっこんしました。いまはふつうのしゅふで、たまにパートのしごとをしています。いまは、日本にきて8年になります。でも日本語はまだはなしすることはあまりできません。いっしょにしごとをしている人はにのみやのにほんごくらすにみんなきています。にほんごのクラスにきたときはいつもただしいにほんごをべんきょうします。にほんごがまちがっているときは、先生におしえてもらいます。それからいつもクラスで日本語はなしてもっとべんきょうしたいとおもいます。
(フィリピン トウゴウ マリリン)
~新しい仲間の紹介~
田中八千代(たなかやちよ)さん
出身地:東京都 職業:研究所非常勤
水曜日 日本語の会
はじめまして、田中八千代です。スタートして3ヵ月がすぎましたがまだ何もわからずベテランのお二人の先生に頼りきっています。現在働いている職場に外国の方が何人かいまして、その方達と話をする延長のような気持ちで応募しましたが、わかりやすく話をすることの難しさを痛感しております。小さな疑問でも気軽に聞けるような雰囲気の中で、私自身も楽しく勉強させて頂いております。どうぞよろしく。
簗瀬陽香(やなせはるか)さん
出身地:山口県 職業:大学生
水曜日 初級
10月からボランティア講師を始め、あっという間に3か月が過ぎました。日本語教師になりたくて筑波大を受験し、色々な科目を勉強していますが、"実際に教える"体験は初めてでした。教えるよりも、生徒さんや、パートナーの先生から教わることの方が多く、とても勉強にもなるし「もっと勉強しなきゃ!」と刺激にもなっています。
まだまだ力不足ですが、がんばりたいと思っています。よろしくお願いします。
岡田叔子(おかだよしこ)さん
出身地:長野県 職業:大学生
火曜日 初級クラス
今回から参加させていただくことになった岡田と申します。現在、大学で日本語を教えるための勉強をしています。しかしこのように教室で教えるのは初めてなので、一緒のクラスの先生に助けていただきながらがんばっていこうと思います。まだまだ勉強しなければならないことは多いですが、生徒のみなさん、他の先生方と一緒に楽しいクラスにしてゆきたいです。どうぞよろしくおねがいします。
~第2回ヨーロッパ日本語教師会シンポジウムを覗き見して~
オーストリア、シュタイヤマルク州の州都である、グラーツという美しい古都で、9月12日から14日にかけて開催されるシンポジウムに主人が講師として参加するという話。これを逃してはグラーツを訪れることはまず一生あるまいと、誘われもしないのに強引について行くことにしました。何についてのシンポジウムかも全く知らないで、ひたすらグラーツ観光とその後のグラーツからイタリアヴェニスまでの列車の旅を楽しみにして出発したのです。
前日にグラーツに着き、出席者と役員の方々との打ち合わせに聞き耳をたてていると、何と日本語教師の方々のシンポジウムという話。これは、これは何たる幸運!と、これまた誘われもしないのに覗き見させて頂くことにしました。参加費も払わないで、シュロスベルク(城山)や豪華なエッゲンベルク城見学の合間にシンポジウムを「覗き見」した程度で、感想を書くというのも厚かましい限りですが・・・。
このヨーロッパ日本語教師の会というのは、ヨーロッパ各地の大学、高校、その他の教育・研究機関などで日本語教育に携わっている教師たちが、日本語教育の発展、充実のために相互に協力し合おうというもの(不勉強につき、実は正確な趣旨は知らないのです。ごめんなさい。)で、まだ結成されて間もないようですが、ロシアも含むヨーロッパ各国から多くの参加があり、会員の方々の真剣で活発な活動ぶりから察するに、今後ますます発展していくものと思われます。
さてシンポジウムはプリンストン大学牧野成一教授による「プロフィシェンシーの縦軸思考と日本語教育」と題する講演で始まりました。熟逹度の評価基準といったものに関した大変興味深い内容でしたが、なにしろその評価の対象はプリンストンの学生ですから、素人の私としては、評価法云々もさることながら、彼らの学習内容の高度さにただびっくりという有様でした。
その後はヨーロッパに於ける日本語教育の現状というテーマで各国の状況が発表されました。一口に「日本語を教える」と言っても、教える対象、環境によって問題は様々です。モスクワやパリ、ウィーン大学のように、日本学研究の長い伝統があり学生は将来、例えば美学、文学、経済学、外交等々の分野での専門家となることが期待される場合、学生のレベル、意欲も比較的高く、現場の苦労は程度の差こそあれ、授業内容や熟達度評価などとなります。しかし言語は、単にその手段に過ぎないという考えの延長上からか、学内では日本人の日本語教師は一種のテクニシャン的立場以上のものではないといった待遇上の限界を感じているという例にはちょっと驚きました。しかし、教師たちの熱意と苦労に、プロフェッショナルとしての誇りを見ることができ、そしてその苦労の果てにある「喜び」が、定年退職後のシルバーヴォランティア?の教師達(エストニア)から語られる時、ただ「日本語を教えている」だけでなく生徒をまるごと可愛がっている様子が感じられました。将来にわたって実際に使用する機会どころか、何の接触ももたないかもしれないはるか東洋の国の言語であり、単に第2、第3外国語として選択したにすぎないといった生徒達に日本語を教えることにより、日本に興味をもたせ、少しでも日本を理解してもらう、極端に言えば「教えさせて頂く、習って頂く」という姿勢で日本語教育を行っている現場も少なからずあるようです。
「習っていただく」という言葉の中に彼の地での日本語教育の困難さを見た思いがしました。ここ二の宮公民館の受講者は、日本で生活していて、日本語習得の必要性を切実に感じている方達ですから、非常に意欲的で熱心です。ある意味では外国での受講者に比べると教え易い人々が対象となっています。それに甘えることなく共に学ぶという姿勢を忘れず、特に年配の学習者も多いこの講座の特殊性を大いに活用して、彼らの文化だけでなく豊かな人生経験からも学びたいと思います。
最後になりましたが、シンポジウムには筑波大学の卒業生で、ここの日本語講座でも教えていらした守時さんがスロヴェニアから参加しておられたことをお知らせ致します。同世代の学生さんと一緒に楽しく頑張っておられ、皆々様によろしくとのことでした。
(及川和子)
編集後記
今年は何と9連休!年末年始に何をしようかと今から楽しみにしている人も多いはず。今年は、初めての試みとして講師の皆さんから生徒さんたちに年賀状を出していただくことになりました。生徒さんたちの感想も楽しみです。98年が皆さんにとって、また日本語講座にとってよい年になりますように!
TIVONA通信第13号

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日本語講座が4月から大幅に変わります。会場がカピオ会議室へ変わるのを機に、クラスも火曜、水曜、合わせて5クラスとなります。好評のコーヒーブレイクも残念ながら取り止めになります。TIVONAの活動について皆で考えなくなくてはならない時期に来ています。総会で話し合いましょう。総会は次の通り開催されます。
日時:平成10年4月18日(土)午前10時から11時30分まで
会場:つくばカピオ小会議室1
「○○○円からお預かりします。」ということ
TIVONA通信の第8号に標題の「から」について書いたんですが、ようやく回答が見つかりました。これは、ある本を読んでいた見つけたもので、自分で考えだしたものでないので残念です。ご紹介いたしますと、「○○○円から代金として△△△円をお預かりいたします。」が短縮されて、「○○○円からお預かりします。」になったとのこと。ずっとこの「から」のことが気になっていたのですがようやく解決いたしました。胸につかえていた物がようやくとれた感じです。日本語講座をしていなければこのような疑問も持たなかったと思います。
先日、イランから来ているホセインさんが、にこにこと話しかけてきました。彼は、おとなしい方ですが、積極的に日本語を話し、何よりも日本好いていてくれます。目線が会うと、いつも何かを話しかけてきます。その日は、日本語3級の試験を受けて合格したと報告してくれました。本当におめでとうと言いたいです。彼との出会いは、一年半ほど前のことでした。ホセインさんは、話すことはかなり出来たものの、読み・書きはひらがな・カタカナでも苦手としていました。かなり日本語が話せると言うことで、日本語の会に入って勉強することになりました。しかし、読み・書きがほとんど出来ませんんでしたので、かなり苦労したと思います。学期の終わりに、思い切って「次回は中級コースで基礎をしっかり学んではどうか」と話してみました。彼は快く受け入れ、中級・で日本語を続けました。その結果が今回の試験に反映したと思います。
以前、話は出来るが読み・書きが出来ない生徒さんのことが話題になりました。いかがでしょうか思い切って基礎的なことを時間をかけて教えてみては?
今学期、南米から多くの生徒さんが、入門クラスに入りました。しかし、どうしても長続きしません。中南米から来た人は最後まで続かないのです。ラテンの血でしょうか?どなたか良い解決策があったら教えてください。
(小須賀 洋)
日本語スピーチコンテスト
第7回外国人による日本語スピーチコンテストが1月31日水戸の県民文化センターで開催されました。一般審査の他に、市内の高校生達が選ぶ「若人賞」と、日本語ボランティア教師達が選ぶ「日本語教師賞」という特別賞があり、その審査員として当日本語講座から渡辺さんと松井が参加しました。発表者は20名で、小学生から主婦、会社員、宣教師など年齢、職業、出身国もバラエティに富んだものでした。発表者が登壇すると、会場からはステイ先の家族や会社の同僚たちの応援団がさかんに声援を飛ばし、活気溢れる雰囲気でした。テーマは「日本の女子学生」や「日本の礼儀作法について」などなかなかするどい意見のものや「金髪は私の切り札」といったユーモアたっぷりのスピ-チもあり、大いに会場を沸かせていました。審査員は発音、アクセント、文法、語彙、構成、表現等について審査をし、教師賞には日系ブラジル人の小学生の「私の学校生活」が決まりました。自分たちの教室から発表者を出している日本語ボランティアの先生方が、控室ではげましの声を掛けたり、民族衣装の着付けを手伝っているのを見ると、我々の講座からの発表者がなかったのがなんとも寂しく、来年は是非誰かをと思いました。
(松井 友子)
~クラスの様子~ 水曜日 中級・クラス
10月から3月まで、にのみやこうみんかんで日本語をべんきょうしました。せんせいはすずきせんせいとわたなべせんせいでした。その二人ともとてもやさしいせんせいでした。かれらは、わかくてたのしいです。はじめはとても心配しました。私は日本語が下手だと思いました。でも、先生がたはしんせつだったからあんしんしました。
せいとたちはいろいろな国から来ていました。クラスの中に中国人、ロシア人、ブラジル人、カナダ人、ポーランド人、スコットランド人、オーストリア人、ドイツ人、アメリカ人、フランス人、ベルギー人がいました。日本語で外国人と話すことはとてもおもしろかったです。それぞれのはつおんはみんなちがいます。
話もおもしろかったです。日本語でいろいろな国のぶんかをならいました。私は水海道市にすんでいますから、外国人をあまりしりません。つくば市はこくさいてきな町ですから、たくさんの外国人に会いました。
さいごにせいとたちはシンデレラのしばいをやりました。女の人が二人だけなのでシンデレラは男の人がやりました。私たちのクラスはふつうではないでした。そのことが好きです。(原文のまま)
(アメリカ ダニエル・スミス)
第2回日本語ボランティアネットワーク会議参加者募集について
平成10年3月18日に、茨城県国際交流協会主催の第1回日本語ボランティアネットワーク会議が水戸市の県民文化センター分館で開催され、財団から吉波が参加しました。東京日本語ボランティアネットワークの事務局長である林川玲子氏の、ご自身のボランティアの経験とネットワーク作りについての貴重な講演と、分科会では、「日本語ボランティアの養成」「教材の創意工夫」「日本語指導方法」「教室の運営」に分かれ、参加者が持つ悩みを話し合いました。
また、終わりに次の第2回目の日本語ボランティアネットワーク会議についてのご案内があり、次回は県内4か所で開催するとのことでした。県南地区は、5月18日(月)につくばインフォメーションセンターで開催されるそうです。時間は午後1時30分から午後4時までで、内容は「日本語ボランティアレベルアップ講座」だそうです。講師には、再び東京ボランティアネットワーク事務局長の林川玲子氏が予定されています。財団の日本語教室からは2名で申し込みしていますので、この講座に興味のある方は、吉波までご連絡ください。
なお第1回日本語ボランティアネットワーク会議の内容については、財団に資料がございますのでお尋ねください。
(吉波 信子)
つくば都市振興財団事務所及び日本語講座の教室の移転について
このたび、つくば都市振興財団では、平成10年4月1日よりつくばカピオ内(つくば市竹園1丁目10番地1)に事務所を移転することになりました。また、長年二の宮公民館を会場に開催してまいりました日本語講座も平成10年4月7日からつくばカピオにて開催するになりました。日本語事務所の移転に伴い日本語ボランティアの皆様方にはご不便をおかけする面もあるかとは存じますが、これまで同様よろしくお願い申し上げます。
なお、財団事務所の電話番号及びファックス番号はこれまでと同じです。また、皆様にご利用いただいております日本語の蔵書については、しばらくの間蔵書の整理期間として、蔵書の貸し出しを停止させていただきますので、あしからずご了承ください。
(吉波 信子)
~教科書作り~その後
教科書作りのその後の状況について、みなさんさぞご心配なさっていたことでしょう。といいますのも、教科書作りの重鎮である卜さん、そしてお手伝いとしてご協力させていただくことになった吉波、二人ともが、2月から集中して取り組むはずであったにもかかわらず、やはり、忙しい二人のことでなかなか予定が合わず、そして3月に突入してしまいました。そうしたら、卜さんのお宅の、吉波は財団の事務所の移転で、共に引っ越しで忙しくなってしまいました。その後、それぞれに分担したりファックスで連絡を取り合ったり、数々の調整をかさね、このたび、念願の入門クラスの教科書として、ファイルの状態にまでになりました。これから使いながら、よりよいものに調整していきたいと思っていますので、教科書作りプロジェクトチームの皆様方の協力をはじめ、ボランティア講師の皆さんや生徒さんからの感想もお聞きしたいと思っていますので、引き続き皆様方のご協力をよろしくお願いします。
(吉波 信子)
私の推薦図書 ”はじめての人の日本語文法”
野田尚史 著 くろしお出版 定価2,200円
日本語を話せる人にとって日本語文法は、学習者の方には疑問に思うことが多く、いざ質問されても上手く説明できなかった経験がみなさんにもあるかと思います。そこで私が今までに読んだ文法書の中で、初心者の方でも分かりやすいこの本を紹介します。
本文は、品詞・格助詞・活用・ボイス・人称・テンスの6つの章から構成されています。それぞれのテーマについて、いくつかの問題提示があり、その問題について討論する形式ですすめられています。
まず、自分で問題について考え、それからほかの人たちの意見を読んでみると、日本語文法について、自分のことばで説明する方法が身につくのではないでしょうか。
(宇都木 淳子)
バス旅行の思い出
3月7日朝8時45分に成田山に出発しました。まずカイドさんはその日の予定を説明してくれました。そのあと一人ひとり参加した人が自分の名前とこくせきを自己紹介しました。成田山にとうちゃくする前にガイドさんが道とかまわりのことを教えてくれました。10時ぐらいに成田山に到着しました。古いたて物が寺に入る前に見えました。古いたて物とおもえない、あざやかな色がありました。今でも人々が自分の希望をかなえるためにわざわざ成田山まで来ておいのりします。まわりのいろんな店には有名なおみやげをかざっておいてありました。私たちはおひるごはんを食べてからおみやげを買って成田山からぼうそうの村へ出発しました。40分後そこに到着しました。ぼうそうの村では日本の昔のせいかつや店を作ってありました。まるでえいがのふんいきがしました。私たちはいっしょにしゃしんをたくさん取りました。
(イラン ホセイン)
学習会の報告
今回の学習会は「日本語の会」クラスをテーマに、日本語ボランティアのための講演会最終日の2月28日(土)につくばインフォメーションセンターで行いました。「日本語の会」クラスについてのアンケートをもとにさまざまな意見の交換を行いました。その様子をご報告します。
1.多種多様な人達が来ていて、それぞれのニーズが異なる。(どのクラスにも共通して言えることで、永遠のテーマ)
- 第1回目に生徒に勉強したいことを聞いて、20回分の中身を決めた。(宇都木・松井)
生徒の構成メンバーにどんな人がいて、どんな事を習いたいかを知ることが大切。全然読み書きが出来ない人がいたが、公文式等で勉強することをすすめた。漢字圏の人は書きたい気持ちが強いので、作文を宿題にした。助詞の使い方など、話しているときは直せないので、力を見るには書かせるのが一番よい。20回の講座の中に書くテーマも入れる。生徒が何をやるのかわかっていた方がいいので、プログラムを最初に渡した。それぞれのやりたいことを折り込んで、全員がある程度の満足感を得られるようにプログラムを考えた。 - サザエさんのビデオ(丸山・藤岡・小林)
季節季節のものをかける。前もってその中に出てくる単語、言葉をプリントしてくる。きれいで、標準的な日本語を使っている。ビデオに出てきた難しい表現などは次回のテーマにする。(使役など)その他、最初の頃は検定を受ける人が多かったので検定中心に授業を行った。日本語の難しさについて、自分がマスターするのにどんなに苦労したのかについて中国人の人が書いた本が参考になった。「例)「結構です」は良いという意味なのか、断りなのか。」その時その時のニーズに応えていく。 - 外国人をどこまで日本人に近づけるか。例えば電話で何もお世話していないのに「お世話になっております。」と言うことなど、教える必要があるか。
日本語がヘタな方が外国人として受け入れられる。日本人になれという訳ではなく、出来るだけ情報として教えてあげた方がよい。あくまでも使うかどうかについては本人の自由。(衣川) - 細かいことについて直すべきかどうか。
教室に来ているということは直してほしいということなので、例としては、分からなかったふりをしたり、「えっ」という演技が必要。違っているというサインは出した方がよい。
2.個々のレベルの差が大きく、上手な人ばかりが発言する。発言の少ないおとなしい人に対して、名指しをしないでうまく理解度を知るにはどうしたらいいか。プライドを傷つけないで平等に話をさせるには。
- プレゼンテーションをする。宿題として1人3~4分で準備させる。自分の国の旗の説明など。全員が関心をもてるような身近なテーマで。(小須賀)
- 全員で話をはずませるためには、日本の伝統や行事を教えるより、ごく日常的な話題を取り上げてそれぞれの人の国の事を話してもらうのがよい。日本の正月を説明するより、それぞれの国の新年の様子を聞く方が、話したい人にはよいのではないか。自分のことは話しやすい。(丸山)
- 無口な人を話させるのは難しい。母国語でも話さない人が日本語で話す訳がないが出来ない訳ではない。話さない人は上達は遅い。話すけれども不正確な人はある程度までは話せるがそれ以上は上達しない。意識しながら話さないとダメ。(衣川)
- 日本語ボランティアのための講演会の様子は次号でお伝えしたいと思います。
4月は変わり目の月であり、新しいことがス編集後記 タートする月でもあります。TIVONA通信も4号から13号まで編集を担当いたしましたが、ここらで次の方にバトンタッチをしたいと思います。この間、原稿の依頼などでは、皆様に何かとご協力いただき有難うございました。心より御礼申し上げます。
TIVONA通信第14号

Gladysさんとの出会い・再会
Gladysさんは日系ペルー人、建築家、年齢不詳、一児の母、日系人の夫の妻、ペルー在住。現在、彼女は首都リマにある建設事務所で設計の仕事をしている。数年前、岡山県の奨学金を得て、10ヶ月間日本で研修を受けた経験がある。
私とGladysさんとの出会いは、2年前になる。遺跡の調査のお手伝いで、7年ぶりでリマを訪れたときである。ボランタリーベースでの参加のため、当然、お金がない。当時、空前の観光ブームに沸いていたペルーは、十分なホテルの量がなかったため、宿泊料が高騰していた。Gladysさんは、お父さんの経営しているホテルをディスカウントして提供してくれた。いつも、静かに背筋を伸ばして話していた記憶がある。ペルーの当時の社会状況。日本で研修を受けていた頃のこと。etc. とにかく綺麗な日本語であった。とても、日本に10ヶ月しか滞在したことがないとは思えなかった。
本年、2週間ほどゴールデンウィークを利用して、新しい研究テーマを持って、再度ペルーに渡った。事前にe-mailやFAX でいろんな人々と連絡を取り合っていた。Gladysさんとは、もっぱら、スペイン語での交信になっていた。渡航の前から、色々なことに骨を折ってくれた。当地での滞在に、前回にも増して低料金でホテルを提供してくれた。また、ボランティアで何日も通訳として働いてくれた。Gladysさんの日本語は、数段上達していた。相変わらず、正確な日本語はもちろんのこと、礼儀正しく私たちと接してくれた。
この間に彼女の日本語が上達した契機となったものは、1 年半ほど前に発生した、日本大使公邸占拠事件があったからとも言える。日本から来た多くのメディアへの対応やNHKの報道番組制作への参加がある。「突入」というドキュメンタリー番組の制作に、ペルー側スタッフとしてかなりの部分を担った。NHKの方々と随分と検討を重ねる機会があったと言っていた。やはり、正しい日本語を基盤とすることにより、大きく力が伸びるということであろうか。
今回の彼女へのお土産は日本語変換ソフトであった。本当に喜んで頂けた。帰国後、早速、とても綺麗な日本語でメールが届いた。近頃、なぜ外国で日本語を学ぶと、正確な日本語になるかということを考えている。多分、ノイズの入る余地や現代風の変形がないのではないだろうか。今回の滞在中に、何人もの日本語を話す人々と会うことができた。私たちの活動もこれからすることはたくさんありそうだ。
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(小須賀 洋)
「文化庁日本語教育大会」参加者募集のお知らせ
平成10年度「文化庁日本語教育大会」が東京世田谷区の昭和女子大学のグリーンホールで、7月29日(水)と30日(木)に行われます。29日はシンポジウムとして、パネル・ディスカッションと地域日本語教育セミナー、30日は、日本語教育研究協議会が7つの分科会に分かれて行われます。この大会についてのお問い合わせと参加のお申し込みは、財団の吉波まで(TEL 56-7007)7月3日(金)までに、お電話にてお申し込みいただきますようお願いいたします。
(吉波 信子)
講演会の報告
昨年度末から今年のはじめにかけて、度々日本語ボランティアのための講習会に参加する機会を得ました。心に残ったたくさんのお話の中から二つをとりあげてみました。
まず、「ボランティア」について。それは奉仕する人、される人の双方に何らかの喜びがあり、あとに満足感が残るもの、という姿勢。
次に「教えること」について。多様な背景や要望を持った学習者と限られた短い時間を念頭に、教える項目を選び到達目標を設定する。事前に項目を分析し、いろいろな使い方のある語彙やいくつかの意味用法のある文型については、混乱を防止するために、そこでどれを教えるかを確認しておく。到達目標に向かって、小さな目標を持った練習の段階を作り、一段終了毎に音声に形式、意味、使い方を加えて行くという練習の流れを使ってゴールへ導く。といった授業実施方法。
これらは今後の活動への大きな力となり、自信を与えてくれるものになりそうです。
(丸山 節子)
国際交流フェア
5月10日の国際交流フェアに、TIVONAの会は「ヨーヨーつり」のお店を出しました。
開店と同時に、よちよち歩きの幼児から高校生までが、赤、青、色とりどりの風船の入った小さなプールの周りを取り囲みました。こよりの先についた金属のカギで、風船をつり上げるゲームです。こよりを持つ手はみな真剣でした。こよりが切れて、風船が水の中に落ちてしまい、しょんぼりする子。うまくつり上げて、二個目に挑戦する子。一個で満足して帰る子。帰り道、どの子の手にも、風船が揺れていました。ギネスに挑戦していた高校生は、二十個で飽きてやめました。そこは、まさしく人間観察の格好の場でした。
近くの広場では、世界各地の歌や踊りが繰り広げられ、珍しい食べ物が、お店に並び国際色豊かな楽しい一日でした。
(山田 恵子)
「日本語ボランティアレベルアップ講座」に参加して
この講座は、平成10年5月18日(月)につくばインフォメーションセンターで行われました。
「東京日本語ボランティア・ネットワーク」の林川玲子さんがお話されました。ボランティアで日本語講師を始めた動機は、海外在住時にいろいろ助けてもらったから今度は自分が日本在住の外国人を助けてあげたいと思ったから、ということでした。(私も同じ)
具体的に、これまでに起きた様々な問題や、講師の心得など話されました。講師は学校で教えている日本語教師ではないし、時間数宇も限られているので、教科書どおりに教えなくてもいい。生徒と先生という縦の関係ではなく、学習者とヘルパーという横の関係で接する。学習者のニーズを知る。興味ある話題を取り上げたり、役に立つ情報をいれると良い。すぐに使える自然な表現を教えることなどです。
これから講師をしていくうえで、とても役に立つ心得だと思います。日本語教師には到底なれませんが、よいヘルパーになれるよう努力したいと思います。
(高田 加代子)
~講演会・学習会にご協力を!~
講演会と学習会でどんなことを、取り上げて欲しいか、皆さんが日頃考えていらっしゃることで何かありましたら、どうぞご連絡ください。また、講演会と学習会の企画を担当していただける方を募集しています。自薦他薦は問いませんので、どうぞ下記の者にご連絡ください。
連絡先
小須賀 洋(TEL 0297-65-0820又はkosuga@gsi-mc.go.jp)
藤岡 洋一(TEL 55-7252 又はjz3y-fjok@asahi-net.or.jp)
丸山 節子(TEL 51-7740)
財 団(TEL 56-7007 又はclass@mbox.co.jp)
~新しい仲間の紹介~
青島 玲子 あおしま れいこ
出身地:静岡県 職 業:会社員
クラス:読み書きクラス(火曜日)
大学では国文学科上代文学専攻でしたが、副専攻として「日本語教員養成課程」を履修しました。
現在は商社に勤務しておりますが、日本語教育には関わっていきたいと思い応募しました。始めてみて、日本語講師としてのテクニックよりボランティアとしてのあり方についての方が考えさせられることが多いです。留学生対象ではなく一般の日本在住者対象ということで、ちょっととまどいもありますが、毎回楽しんでやっています。
クラスの様子~入門クラス~
日本語教室の入門クラスのボランティア講師を担当して、早いものでもう3か月がたとうとしています。前期も入門クラスをうけもっていましたが、今期から場所が春日公民館からカピオに変わったことや、クラスの人数が14人と多いこともあり、最初は少し戸惑うこともありましたが、一緒に教えている講師の方や、振興財団の方々に色々と助けてもらいながら、何とか3か月やってくることができました。
入門クラスの生徒さんは、日本に来て間もない人や、日本語を全く話せない人が多いのですが、皆非常に日本や日本文化に興味があるようで、教室はいつもやる気に満ちています。毎週ほとんど欠席もなく、質問も沢山出ます。(時々私たちでも答えられないような難解な質問もありますが・・・)入門レベルでは、最初から何もかも教えたくなってしまうのですが、できるだけ必要最小限のことを、実際の生活で使えるように教えています。テキストもただ読み進めていくのではなく、絵カードや人形、プリントなどを使って、分かりやすく楽しい授業になるよう努力しています。
今後も、より一層楽しいクラスになるように、責任を持って頑張っていきたいと思います。
(久世 英里子)
蔵書紹介~新刊のお知らせ~
○忘れられた日本人
宮本常一 著 株式会社岩波書店 定価560円
昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者が、文化を築き支えてきた伝承者である老人達がどのような環境に生きてきたかを描いた民族学の代表作。
○韓国で日本語を教えよう
松尾孝雄 著 幻燈社書店 定価1,200円
韓国で日本語を教えたいという人のための「実用書」。日本人教師の暮らしぶりを紹介し、韓国の学生たちを理解するための本。
○日本語教育重要用語1000
柳澤好昭ほか 著 バベル・プレス 定価2,900円
本書は、日本語教育が人間を対象とする応用科学の領域であるという視点からつくられた用語集である。その意味で今までにない用語集であると言える。
○江戸のファーストフード
大久保洋子 著 株式会社講談社 定価1,500円
盛り場に、辻辻に、縁日に、百万都市江戸を埋め尽くしたファーストフード屋台から、日本料理を代表するてんぷら、すし、そばが生まれた。せっかち庶民の愛した江戸前の味、将軍の意外に質素な食卓など、多彩で華麗な江戸の食空間についての書。
○ドリルの鉄人
横溝紳一郎 著 株式会社アルク 定価2,200円
学習者の会話能力を高めるために欠かせないドリル練習。本書には、ドリルを楽しく効果的に使うためのアイデアがぎっしり詰まっています。これから日本語を教えようとしている人から、教え方に一工夫加えたいベテランまで、あらゆる日本語教師必読の書です。
○日本語ウォッチング
井上史雄 著 株式会社岩波書店 定価660円
言語学の眼で考察すると、耳新しいことばの出現の背後ではたらくメカニズムや日本語変化の大きな流れが見えてくる。長年の調査・探究に裏打ちされた現代日本語の動向観察。
○いま!日本語ボランティア東京
日本語ボランティア講座編集委員会 株式会社凡人社 定価 各1,500円
○いま!日本語ボランティア山形
日本語ボランティア講座編集委員会 株式会社凡人社 定価 各1,500円
上の二書は、さまざまな目的で日本に在住する外国人が少しでも生活しやすいようにと、ボランティアで日本語を教えている「日本語ボランティア」の人たちを対象として、平成6年に東京と山形で開催された「日本語ボランティア講座」を誌上で再現・収録したものです。
○日本語文型辞典
グループ・ジャマシイ くろしお出版 定価2,800円
この辞典は、文型を文や節の意味・機能・用法にかかわる形式という広い枠組みで捉え、それらが場面や文脈の中でどのように使われるのか分かるように記述されています。
○どんな時どう使う日本語表現文型500
友松悦子ほか 著 株式会社アルク 定価2,427円
中・上級で数多く出てくる文法的な機能語を、学習者に効率よく体系的に復習させることができる教材。
○日本でくらす人の日本語
大谷まことほか 著 株式会社凡人社 定価2,190円
日本で暮らしている人々が、日本の社会や日本人の中に根を下ろす助けとなるような教科書。従来の教科書では、あまり重視されなかった、家庭生活や家族、子どもたちの学校生活、地域の人々との交流などの話題を取り上げています。
○SITUATIONAL FUNCTIONAL JAPANESE VOLUME 1~3 テキスト・ドリル・ビデオ
筑波ランゲージグループ 著 株式会社凡人社
筑波ランゲージグループ 著 インターコミュニケーション
既存のにほんごテキストの枠を破った新しいタイプの英語圏の学習者向けの教科書。自然な日本語で自分の意見を述べたり、討論ができるよう工夫され、各巻8課、全24課で構成されている。
※ボランティアの皆様方には、財団事務所の移転に伴い、日本語関連の蔵書の貸し出しについて、暫く御不便をおかけしていましたが、ようやく保管場所が決まりました。7月1日(水)から蔵書の貸出を再開しますので、利用される方は、財団の事務所にお寄りください。
(吉波 信子)
日本語講座のEメールアドレスについて
財団の従来のEメールアドレスtcfoun@po.net-ibaraki.ne.jpに加え、日本語講座関連のEメールアドレスが増えました。class@mbox.center.co.jp です。財団への連絡等にどうぞご利用ください。
(吉波 信子)
二の宮公民館の日本語講座について
TIVONAの会では、二の宮公民館を会場に自主授業として、日本語講座を行っています。現在、火曜日は上級クラスで、小林さん・松井さんの指導のもとに、ハンガリー・韓国の方が5人学んでいます。水曜日は入門クラスで、荒井さん・添田さんの指導のもとに、ロシア・中国・韓国の方5人学んでいます。この講座は5月1日~7月15日まで10回行われます。
(小林 和子)
編集後記
雨に濡れた紫陽花の美しい季節となりました。4月から第12期の授業が新しい会場カピオで、またボランティアの先生による自主授業が、従来の二の宮公民館で行われています。そろぞれ再出発の授業は、どんな様子でしょうか。新しく書記を仰せつかった私は、数年振りにワープロの前に坐り自宅研修に励みました。少しでも、お役にたてたらよいと願っておりますが、何しろ新米ですのでどうぞよろしくお願い致します。
TIVONA通信第15号

最近読んだ本の中から<?xml:namespace prefix = o ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:office" >
仕事の都合で、俳優のKさんから、氏の書かれた随筆を「小須賀洋様 K」とのサイン入りで頂いた。こうなるときちんと読み切らなければならない。その中でおもしろい文章がありましたので紹介します。
言葉のおしゃれ
(前文省略)
言葉は磨くものだ、という。濁らないように絶えず磨いて、手入れをして、やっと自分の言葉に仕上げていくものらしい。日本人と生まれて今さら日本語を磨くというのも無駄な話のようだけれど、実はそうでもなさそうだ。言葉というものは、心をこめて使わないとすぐ枯れはててしまう。
自国語を楽しく正しく話すため、子供のころから舞台俳優についてレッスンを受けるフランスの家庭教育の話を聞いたことがある。ここまで徹底しないまでも、言葉が毎日使うものであってみれば、日頃の点検整備も必要にちがいない。いつの間にか僕たちは、サビついたままの言葉をギスギスと無神経に使ったり聞いたりするのに慣れきってしまってはいないだろうか。
「そんでさァ。」
「なんつうかさァ。あたあちはさァ。」
「わりかし、アッタマくるほうじゃン。」
バスの座席に座っていると、一団の若い女性たちから、まるで言葉の洪水だ。鉄砲玉のように早口で飛び交う会話を耳にしているうちに、僕はふと気づく。一色なのだ。まるで画一化されている。どの人も同じような発生、音色、テンポ、語彙の選択。言葉が手近のありあわせなのだ。たとえ、ツルシの服でも自分独自のみのこなしを身につけるまで四苦八苦するはずの娘さんなのに、言葉の方はいとも無造作にツルシのまま身につけてしまう。惜しいことだと思う。(途中省略)
だからこそ、日本語の表現を豊かに守ることは日本文化の美を守るための一つの方法なのかもしれない。(以下省略)
この文章は、新しい女性1970.8に記載されたものだそうです。現在でも新鮮に読むことが出来ます。
言葉という文化は、他の文化と同じように時代とともに変化してゆくものだと思っています。文化というものは、美しいもので、将来へ伝承されていくものではないでしょうか。日本語も、きれいな形で将来に引き継がれていきたいものです。
(小須賀 洋)
TIVONAの会役員の交代
本年4月より書記をしていただいている高橋桂子さんが、ご主人の仕事の関係で10月下旬にアメリカ合衆国へ行かれることになりました。TIVONA通信の編集や役員会の記録、講演会の企画等本当にありがとうございました。後任に、及川和子さんに書記の仕事を引き継いでいただくことを役員会で決めさせていただき本人に依頼しました。及川さんも快諾してくれましたので、10月から書記としてTIVONAの会の運営に参画していただきます。会員のみなさま、ご了承下さい。
(小須賀 洋)
戸田貴子先生「音声を使ったコミュニケーションと語学教育」を拝聴して
理路整然とした内容に教わることが多かったのですが、実践的な話題を通して二つの点を印象深く受けとめました。一つは語学教育において、音声が如何に重要であるかということ。日本語を教える時、私たちは文法や語彙に比して、とかく音声を軽視しがちではなかったかと反省します。それは、英語を学んだ経験からも、母語にない音声の習得は困難で、ある程度似ていれば互いに大目にみながら、コミュニケーションをとって、実際の社会ではそれでことたりてきたからだと思います。ところが日本語学習者達は困難にたち向かい、非常に苦労しながらももっと上達したいという願いを持ち、教師に直して欲しいと願い、教師を信頼しているという、アンケートの結果には、衿を正す思いをさせられます。私達は相手を傷つけたくないという気持ちもあって、なかなか指摘できなかったり、時間的な制約もあって、音声の指導まではできない現状なのですが、長い目でみた時、それが学習者にとって不利になっていないかを、もう一度真剣に話しあってみる必要があるのではないかと感じました。
もう一つは、学習者の層が拡がって、一昔前のように、必ずしも学者、研究者という人達だけでなく、例えば日本人の妻となった人達、あるいは在日外国人の子弟など、日本人社会に生きて、日本語学習の必要に迫られながら、声高には自分達の立場を主張できない、いわば社会的弱者である学習者もいるということを知る必要があるということ。学習者の本当の気持ちはどうかとか、何を希望しているかとか、常に学習者の立場に立った視点で日本語教授に携わるべきだと、反省をこめて深く考えさせられました。
(中井 一枝)
学習会「マレーシア・サラワク事情」から
今回の学習会は、中井一枝さんのクチン帰国報告を拝聴しました。中井さんはJICAより研究官としてマレーシア森林局の研究機関に行かれた夫のDr. 中井氏と共に、サラワク州クチン市で二年間生活してこられました。当初は日本語を教える機会もあるかとテキストを用意して行かれたようですが、現地では長く日本語教師をしている人の仕事を奪ってはと遠慮された由。でも研究所の日本語を学習している人達とのつき合いのなかで、日本語を正してあげたりすることがあったそうです。サラワク州はイバン族、中国人、マレー人、インド人から成る多民族で従って多言語社会である。町の看板も左から書かれた中国語、英語さらに縦にアラビア語などで賑やかそのもの。メディアも中国語、英語、マレー語、ビンズー語と目まぐるしいほどの交錯振りである。こんなわけで、人々は生活の知恵から都合の良いように、中国語やマレー語の語尾をつけた造語を使っているらしい。「オーケラ」(O.K.Rh) には、皆んな爆笑してしまった。また比喩語も「裸一貫」は「傘一本」(雨が多いので)、渋い顔はsour face と臨機応変な言葉造りには感心した。近くて遠いと言われるアジアの文化の奥深さも再認識させられた。イバン族のヌガヤップという風習は足入れ婚と誤解されているが、ここで交わされる青年から少女への求愛の言葉はとても礼儀正しく優雅なものである。ひとつ残念なのは、観光地の日本人向けパンフレットの日本語の拙劣さだという。何とか良いパンフレットをと色々手をつくされたが、お役所間の思惑などがあり、まともな日本語パンフレットの実現は難しそうである。この学習会は質問あり笑声ありで、和気あいあいの雰囲気のなかに有意義に終わりました。中井さんの主婦の域を脱した洞察力と勉強による充実した見聞記を、どうも有り難うございました。
(高橋 桂子)
※講演会・学習会の資料とテープが財団にございますので、どうぞご利用ください。
日本語の会での勉強を振り返って
(日本語の会・中国・鞠 麗侠)
全20回の日本語の会の勉強は後一回で終わります。各テーマのお話はとても面白くて、いい勉強になりました。「日本語能力試験特訓」の指導では、先生から細かい所まで説明して頂き、言葉のニュアンスがよく分かりました。「子育て」の話では、日本の現実社会の少年犯罪のことにも触れました。「私の国」という話題では、タイ人の風俗、韓国人の食事作法、中国の大学教育、イランの宗教と戦争のことなどを展開し、違う肌色の各国の人々が宗教を越え、友達になり、仲良く、楽しく勉強しました。そして、及川先生のお宅でのパーティのことを思い出し、洋風、和風、中華風の美味しい料理やにぎやかな会場に現れた違う肌色の顔が目の前に浮かんできます。次回のお別れパーティを楽しく待っています。半年にわたって、ボランティアで授業をして下さった先生の方々はご苦労さまでした。誠にありがとうございました。応援してくれる主人と一歳の息子にも感謝しています。
(原文のまま)
私の推薦図書
「文法的に考える-日本語の表現と文法-」
北原保雄著 大修館書店
いつものこのコーナーは具体的な日本語教授法に関する本の紹介が多かったように思うが、今回は趣を異にして、日本語を教える以前の問題として、私達が何気なく聞いたり話したり読んだり書いたりしている日本語をもう一度見つめなおすのに好適と思える著作を紹介したいと思う。内容は、芥川龍之介の「羅生門」などの有名な近代文学作品をいくつかあげて、副詞「もちろん」の使い方や「は」と「が」の使い方などを具体的にやさしく解説していくものである。雑誌「国語教室」や「月刊言語」などに寄せたエッセイを集めたものなので一部専門的な部分もあるが、概して気軽に読みながら読者に日本語について考える機会を与えるような内容になっている。著者は国語学の権威であり、筑波大の日本語教育の中心的存在でもあり、そして創立二十五年にして初めての文系、生え抜き茗溪会出身の筑波大学学長となった北原先生である。この機にぜひ一読を薦めたい。
(小林 和子)
平成10年度日本語教育研究協議会に参加して
文化庁主催の「平成10年度日本語教育研究協議会」が7月29日、30日、の2日間、昭和女子大で開催されました。29日のシンポジウムは、吉波さんが、30日は宮本さんと私(大木)が参加しました。会場は、例年同様、全国から集まったいろいろな日本語関係者で熱気にあふれていました。今回は、私が参加した30日について少し書きたいと思います。
「第1部は「文化庁が行う日本語教育関連事業について」、第2部は分科会で全部で7つの分科会に別れ、どの分科会もまた大勢の参加者でいっぱいでした。宮本さんは第6分科会「日本語教育とネットワーク」、私は第2分科会「日本語教育とコミュニケーション教育」に参加しました。第2分科会について少し書きたいと思います。講師は東海大学教育研究所の松本茂先生と上智大学の吉田研作先生、司会は国立国語研究所の佐々木倫子先生、と言う事でたいへん知名度の高い先生の分科会のせいか、参加者も知名度の高い方が多かったようです。(私には判りませんでしたが)講師の先生は2人とも英語が専門で日本語教育というよりは、コミュニケーション教育と日本における英語教育はこれからどのようになっていくのか。というような内容でした。なかでも、語学教育においても、何の専門分野の教育においても、コミュニケーションを上手にとる事が重要なんだ。ということが印象的でした。つまり、筆記テストや面接でどんなにポイントが高くても、コミュニケーションの能力が低ければこれからは、採用試験などでも、合格は難しくなるだろうと言う事でした。
今回の「平成10年度日本語教育研究協議会」についての資料が財団にありますので、興味のある方はどうぞご覧ください。
(大木 喜子)
文化庁「これからの日本語教育を考える」シンポジウムに参加して
毎年恒例となっている文化庁主催のシンポジウムが平成10年7月29日(水)、昭和女子大学グリーンホールにて行われました。その中のパネル・ディスカッションは、「日本語の将来を考える-地域社会の国際化に対応して-」をテーマに行われました。コーディネーターを務めたのは日本語教育学会会長で前国立国語研究所長の水谷修氏。以下パネリストとして加藤周一氏(立命館大学客員教授)、イ・ヨンスク氏(一橋大学助教授)、徳川宗賢氏(学習院大学教授)、西原鈴子氏(東京女子大学教授)がそれぞれの立場から意見を述べられました。
日本語の将来について-日本語はほろびてしまうのか?外国人が日本語を学ぶ気持ち?美しい日本語とは?そしてこれからの日本語教育をどんな風に取り組んでいくか?ということについて議論されましたが、その中で印象に残ったことをお伝えしたいと思います。
特に印象的だったのは、韓国人として日本の言語学研究をなされているイ先生のお話でした。日本には、外国人の子供たちで、日本人のように日本語を話す子供たちがたくさんいて、そのような子供たちが話す言語を日本人語と呼んでいるが、日本国民ではない子供たちが疎外感を持たずに生活できるようになって欲しい。日本人の皆さんには、日本国民ではない日本語人が日本にはたくさんいるということを意識していただきたい。と話してくれました。また、よく日本人が外国人に対して「日本語は難しいでしょう。特殊な言語ですよね。」という質問をするということに関して、アジア人にとっては、日本語は親しみやすいというのが実感であるという面があること。何をもって美しい日本語と言うのか?日本語を話す者、特に外国人にとっての精神的な圧力となっているのではないか。美しい日本語とは何か、日本国民ではない日本語話者に向けてきちんと定義付けて欲しい。という意見がとても印象に残りました。またこのことと関連して、日本語と国語の間に隔たりがある限り、英語のような国際語にはなり得ないのではないかとの考えを述べられました。
また、徳川先生は、日本人はもっと世界の今の状況を知るべきである。日本は、景気が悪いとかいわれているが、しかしながらすごくお金持ちであるということは事実で、そういったことも意識しつつ、近隣諸国の言語を大切に、また日本人が近隣諸国の言語を学ぶ機会を増やすべきだとの考えを述べられました。
会場の一般参加者からも、小学校から近隣の国の言葉を学ぶことが必要なのではないか。例えば、日本では英語を中学校から学びはじめるが、小学校の段階でアジアの言語を学ぶ機会があれば、外国語は難しくないと皆が認識することができるのではないか、という意見や、今まで日本語と国語、外国人が学ぶ日本語と日本人が学ぶ日本語の間に、垣根のようなものがあって、説明できない違いを感じていたが、今日のパネル・ディスカッションでは、その辺の議論がされていたのでよかった。これからは、日本語と国語の垣根が取り払われるようになるとよいと思う。との意見も発表されました。
いろいろな分野の人達が会して、日本語の現状や将来についての意見をお聞きすることができ非常によい機会であったと思います。会場にはたくさんの日本語教育にたずさわっていらっしゃる一般の参加者もつめかけ、日本語教育に対する感心が高いこともあらためて感じました。グローバルスタンダードならぬ日本語スタンダードのための情報を知るよい機会でした。
今回のシンポジウムの資料が財団にございますので、どうぞご覧ください。
(吉波 信子)
編集後記
朝晩の秋風に身心のひきしまる感じの季節となりました。皆様にTIVONA通信第2報をお届けして、私事ですが10月末より夫の仕事のためしばらくアメリカヴァージニア州で暮らすことになりました。途中で書記を投げ出すようなことになり心苦しく思いますが、私より若くて有能な及川さんに引き継いでいただくことになり嬉しく思っています。これまで気持ちよく日本語ボランティアをさせていただき、財団の吉波、大木、宮本さま、TIVONAの会長、会員の皆様に感謝の気持ちで一杯です。どうもありがとうございました。