メニュー
文字サイズの変更
標準
検索

TIVONA通信


キーワード:

    TIVONA通信vol.51~vol.55

    5件の情報項目より1-5件を表示しております

    TIVONA通信第51号

    TIVONA通信第51号





    「読み書きクラスだより」<?xml:namespace prefix = o ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:office" >

     

    日本語教室には最初のころからかかわってきましたが、しばらくボランティア講師をお休みさせて頂いていたのちに、この「読み書きクラス」で復帰させて頂きました。二、三年前から始まったこのクラスを最初から指導してくださっている守中先生と、ベテランの高橋先生と、とても楽しく講師を続けさせていただいています。TIVONAの会に参加させて頂いて、思えばいろいろなクラスを担当し、いろいろな先生やいろいろな生徒さんたちと楽しい時間を過ごさせて頂いてきましたが、今のクラスはその中でも最も楽しいクラスの一つになっています。

    「読み書きクラス」に参加させていただいた当初は、生徒さん達がみな好き勝手な勉強しているだけなので何をお手伝いすればいいのかわからず、生徒さん達の役に立っていないような感じがして当惑することもありましたが、今はこのクラスの和気あいあいとした雰囲気にどっぷりつかっています。今このクラスにはペルーから来た家族が参加しています。今度中学生になったお兄ちゃんと小学生の男の子と女の子の可愛い双子の兄妹とそのお母さんです。子どもたちはそれぞれ宿題を持て来てやっていますが、さすがに日本語上達は早くて、最近はそれぞれ自分がわかることを他の大人の生徒さんたちにも教えてあげたりもしています。彼らはすすんで教科書や辞書を調べたりして、教えることが何よりの自分自身の勉強にも、また自信にもつながってきているようです。生徒さんたちが手作りの美味しいお菓子を持ってきてくださることもあります。また、宗教も、母国語も、日本語の能力も違う方たちが情報交換して仲良くなって、一緒に岩盤浴に行ってリラックスできた話などをしているのを聞くにつれて、日本語能力の向上という目的以外の、日本語教室の大事な目的をもう一度考えさせられます。

    もちろん日本語教室の第一義の目的は生徒さんたちが日本語を上達することでしょうが、日本語学校などとは違って、地域の日本語教室にはそれぞれが地域の中で助け合い、コミュニケーションの場所になっていくという大切な目的も持っていると思います。それぞれの方の読み書き能力の上達にどれくらい貢献できているかはわかりませんが、週に一回一時間半ではありますが、それぞれの方が日本語と向き合い、互いに情報交換できる居心地のいい場所になれたらと思っています。講師である私自身がこの居心地の良さを一番実感していて、生徒さんたちからいつもいろんな事を教えていただき、楽しいひと時を過ごさせていただいています。

    そして、それはひとえに守中先生と高橋先生のお人柄によるものだとも感じています。生徒さん達に本当に親切で優しく、私のような何も準備もせずいつも遅れて参加する者にも本当に寛大で、すっかり甘えさせていただいています。この年齢になって心から尊敬できる先生に出会えたこと、楽しいクラスに参加させて頂いていることを幸せに感じます。

    去年、このクラスを覗きに来ていた友人の娘さんは、大学を中退し目的を見いだせずにいましたが、このクラスの雰囲気が気に入って、この春から語学学校に通い始め日本語教師になることを決めました。流行のことばでいうなら「ゆる~い」クラスではありますが、和やかなこのクラスを誇りにしています。守中先生、高橋先生これからもなにとぞよろしくお願いいたします。   (小林 和子)

     

     

    ウズベキスタンの日本語教室から

     

     みなさん、ウズベキスタンという国の名前を聞いて、何をイメージされますか??つい先日、サッカーW杯の予選で日本と戦った国なので、日本での知名度も徐々に上がってきていると思いますが、ウズベキスタンはまだまだ日本人にとって馴染みの薄い国の一つではないでしょうか。ウズベキスタンは旧ソ連の国の一つで、カスピ海の東、アフガニスタンの北に位置しています。歴史的には、サマルカンドやブハラなどシルクロードの中心地として栄えてきた都市がある国で、今も残る歴史的建造物(神学校、廟、モスクなど)は世界に誇れる遺産として輝いています。

     私は現在、ウズベキスタンの首都タシケントにある世界経済外交大学というところで日本語を教えています。タシケントは中央アジア最大の都市と言われ、ロシアを思わせるような区画整備された道路や近代的な建物が並んでいる一方、中心地を少し離れると牛や羊が放し飼いにしてあり、ロバが道路を走るという光景も見られ、まるで十数年の時代の流れを凝縮させたような町です。

     世界経済外交大学はタシケントの中心に位置しています。この大学は5年制で、日本でいう東京大学のようなウズベキスタン一の難関大学と言われています。国際経済学部、国際法学部、国際関係学部の3学部からなり、学生数は約1200人、ウズベキスタン中から優秀な学生が集まり、将来、外交官や世界をまたにかけて活躍する国際人になるべく日々勉強に励んでいます。この大学は外国語教育に力を入れており、学生はみな2言語を学ばなければなりません。英語は必須で私は第二外国語として日本語を選択した2年生から5年生の学生に現地の先生とともに日本語を教えています。各クラス週3回(1学年2クラス)授業があり、現在は週に8コマ担当しています。1クラス12人程度で、4年生の前期までに初級日本語を終えるペースで進めています。ウズベキスタンの人はとにかく話し好きというのが私の印象ですが、そのおかげか学生も話す聞く能力はとても高いです。また冗談も好きで、授業中も日本語でよく冗談を言い、私自身、学生に元気をもらいながら毎回楽しく授業をしています。

     クラスの雰囲気は日本語を勉強し始めたばかりの2年生は「日本へ留学したい!」とか「日本で働きたい!」「日本人と結婚したい!」など皆それぞれに目標を持ち、モチベーションも高く、クラスも非常に活気があります。しかし、3年生、4年生になってくると、学生間の能力・モチベーションの差が大きくなり、平仮名・片仮名がようやく読める学生と日本語能力試験2級を目指すレベルの学生を同じクラスでどのように扱えばいいのか悩んでいます。ですが、「私の役割は日本語を教えるだけじゃない!日本人の私にしかできないことをやろう!」ということを心がけ、授業に臨むようにしています。また先日は、タシケント在住でエイズ感染拡大防止活動をしている日本人の知人に依頼し、日本語でエイズのワークショップをやってもらいました。普段の授業と違う雰囲気の中、学生が活発に意見を出している姿は印象的でした。このように日本人のネットワークを活かした取り組みも今後もやっていきたいと考えています。

     最後に、文化の違いを改めて実感したエピソードをご紹介したいと思います。この間4年生の授業で『・・・たばかり』の文型を勉強したので、「(   )ばかりなので、まだきれいです」という文を提示し、(   )に入ることばを考えさせました。私としては「(部屋は掃除した)ばかりなので、まだきれいです」とか、それに似たような答えが返ってくるだろうと予想していたのですが・・・・学生の答えは「(結婚した)ばかりなので、まだきれいです」というものでした!確かに文法としては間違ってないけど・・・うーん・・と考え込み、ふとウズベキスタンの事情を思い起こしてみると、ウズベキスタンではこの例文も正解かなと納得してしまいました。と言うのも、ウズベキスタンでは女性は18歳が一番美しいとされ、1618歳で結婚させられる女性がまだまだ少なくありません。しかし、いったん家庭に入ってしまうと、もはや‘女性’と見られないらしく、歳を重ねるにつれ恰幅のいいたくましい‘母ちゃん’へと変身していきます。ウズベキスタンの食習慣(油っぽく、炭水化物の摂取量が多い)がそうさせてしまうのか、中年の女性は皆どっしりとしていて存在感十分です。私は学生に「ウズベキスタンではこの文はいいですが、日本ではちょっと・・・」と言って、皆で笑いました。

     海外で日本語を教えるということは、日本で教えるのと違い、私が‘日本人’ということ自体が価値を持っていると感じました。特に、ウズベキスタンは国の規制が厳しいことやインターネットの環境がよくないことから、学生が自分で日本の情報を手に入れることはそれほど容易ではありません。そんな環境の中、彼らにとって日本を知る窓口として役割を果たせればと思っています。私の任期は2011年の1月まで。残り1年半、彼らの世界を少しでも広げられるように、日々の授業、学生との関わりを大事にしていきたいです。( 伊藤 文 )

     

     

    WebJELを利用しましょう:33期の使用状況報告

     

    07年に筑波大学留学生センターの衣川先生(現名古屋大学留学生センター)からのご提案がきっかけとなって、このプロジェクトは始まりました。先生が開発されたプログラムを用いて、われわれの教室のカリキュラムに適合した日本語の演習システムを構築するために、TIVONAの会ではワーキング・グループ(WG)を組織して、有志メンバーにより1年半にわたり作業をしてきましたが、093月をもって一応活動を終了いたしました。0810月から093月まで(33期)の受講生によるWebJELの使用状況をまとめましたので、ここに報告いたします。

    1図は現在までに作成されたクラス毎の問題数ですが、総数284件でこのうち日本語3,4クラスに該当するものは、この半年ほどの間に作成されたものです。

    第2図はこの期間にWebJELへ登録した受講生数を示しますが、総数100名ほどの受講生の約65%がこのシステムに興味を示しています。ただクラス毎に違いがあるのは、日本語3,4、読み書きクラスについては33期にはまだあまり問題が整備されていなかった事情を反映しています。

    さて、WebJELがどのぐらい利用されたか、33期の実績を第3図に示します。1111日と113日にネットワークセンターで火曜日クラスを対象とするWebJELを使った補習授業を行いましたが、この際のアクセス数がかなり多く、その他と113日以降と示されているのが、受講生が自宅からアクセスした件数になります。全アクセス件数は1,000件を少し超えていますが、登録した受講生が64名であったことからすると、一人あたりのアクセス数は16件にしかならず、日本語3,4が十分な稼働状態になかったことを考慮して日本語1,2および読み書きクラスの登録者36名で割り算しても29件であり、まだ十分にこのシステムが利用されているとは言い難い状況です。

    ではどの程度のアクセスが目標になるのでしょうか。カピオでの授業後に自宅で復習のため3問の復習をするとすれば、半年20回の授業で60回/人/学期のアクセスになります。受講生100人として6,000アクセス/学期あたりが目標の目安になるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

    補習授業で学習者がWebJELを使うにあたっての問題点も見えてきました。日本語入力が難しく、正しく理解しているが入力のミスによる間違いが多い。また、作成された問題自体に間違いがあったり、学習者の問題点を正しく問題にできていないなど、練習問題自体の改良にもまだまだ努力していく必要があります。WebJELは我々の使っているテキストに即して、授業の中で練習が必要であると感じたところを練習問題にしたオーダーメイドのe-ラーニング・システムであり、我々にとって有力なツールであることは間違いなく、有効活用することによりもっと効果的な学習ができるようになるはずのものです。どうすればもっと利用しやすくなるか考えていただけると有難いですし、これからも改善・改良を続けたいと思います。

    ここにWGに参加し活動していただいた筑波大の西村先生ならびにTIVONAのメンバーの皆様に感謝の意を表します。(WebJELワーキング・グループ・清水記)

     

    平成21年度 新規購入蔵書リスト 

    No.

    本のタイトル

    出版社

    1

    日本語を教えたい人のためのはじめての授業キット

    アルク

    2

    平成20年度日本語能力試験1、2級

    凡人社

    3

    平成20年度日本語能力試験3、4級

    凡人社

    4

    日本語を楽しく読む本 初・中級

    産業能率大学

    5

    みんなの日本語初Ⅱ 導入・練習イラスト集

     

    6

    おたすけタスク

    くろしお出版

    7

    「新日本語の基礎」続クラス活動集131

    スリーエーネットワーク

    8

    「新日本語の基礎」続クラス活動集101

    スリーエーネットワーク

    9

    語学留学生のための日本語Ⅰ

    凡人社

    10

    語学留学生のための日本語Ⅱ

    凡人社

     

    合  計

     



    ヨーヨーのお手伝いをして

     

     つくばフェスティバル200959日・10日の2日間つくばセンター広場・中央広場で行われました。私たち日本語教室の先生たちは、ノバホール前のテントの中でヨーヨーの店を出しました。

    清水先生と守中先生がヨーヨーの風船をふくらませ、その中に水を入れて準備してくださいました。佐藤先生は呼び込みが上手で、子供たちが次々とやってきました。一番のポイントは、ヨーヨーをつりあげる「こより」の作り方です。作り方によっては3個も持っていくことになってしまい、「こより」の作り方を工夫しました。子供達の楽しい声の響きに、私たちも元気をもらった一日でした。(にほんご3 小松いつ子)

     

    新人講師紹介

     

    永田(ながた)あゆみ(担当:日本語の会)

     

    こんにちは! 土浦に越してきて今年で3年目になります。以前日本語学校で働いていたこともあり、この土地でも何か始められたらと思って参加させていただくことにしました。講師としては長いブランクがあるので『不安もいっぱい(>_<)』ですが、明るい受講生のみなさんに支えてもらいつつ、がんばっていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

     

    <?xml:namespace prefix = v ns = "urn:schemas-microsoft-com:vml" > 


    編集後記:梅雨明け宣言が出て、本格的な夏が来ました。日本の夏と言ったらお祭りですよね。「まつりつくば2009」もあと1カ月に迫り、カピオの隣の公園では着々とねぶたが作られています。その他、各地でお祭り行事が沢山で、何だか、気分がウキウキです。今年は浴衣に文庫結びか 貝の口結びにして盆踊りに行こうかな。(か)


    TIVONA通信第52号

    TIVONA通信第52号





    「落とし穴勉強会」<?xml:namespace prefix = o ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:office" >

     

    会員の方々はご存じだと思いますが、今年の5月から毎月1回「落とし穴勉強会」と称する会を開催しています。毎月第3土曜日の午後2時間、第1部が『日本語教科書の落とし穴』(アルク 1999年)の講読、第2部がカピオでの教室での成功談・失敗談など経験をベースに教室活動をどう進めればいいかについてのフリートーク、から成り立っています。現在10名ほどのメンバーが参加し毎回活発な議論がおこなわれています。

    テキストにしている『日本語教科書の落とし穴』は完全な誤用ではないけれども日本語としては何かおかしいといった具体例から、我々が教室でおこなっている活動のどこが問題なのかを文型ごとに指摘する内容で、我々自身の日本語に対する感性が問われます。初級のクラスに適用するには少しレベルが高すぎるところはありますが、教室に出るにあたって講師側としては理解しておくべき事項をいろいろと含んでいます。

    第2部は、勉強会メンバーによる教案の作り方、教え方などでの経験談・工夫などで、実際には苦労話・失敗談が多いのですが、他人の話からヒントをもらったり安心したり、結論が出るわけではないのですがいろいろ話のできる場を提供しています。

    TIVONAの会も昨年教室設立15周年のお祝いをしたところでかなりの歴史があるわけですが、15年に亘っての教室活動の内容はほとんど記録には残っていません。いろいろ貴重な経験が詰まった15年だったのだろうと思いますが、その内容は参加された講師各人のものに留まっていますので、これらを持ち寄って公開し、集積し、できれば記録を残していく努力をすることができれば、明日の教室の改善につながっていくのではないかと思います。先生の仕事はどの分野でも同じなのでしょうが、経験とノウハウの積み上げによるところ大です。TIVONAの会としてはこれらを属人的なものとせず共有し、教室のレベルアップに繋げられると理想的なのではないでしょうか。具体的にどうすればいいのかはまだ見えていませんが、この「落とし穴勉強会」が情報共有という意味で役に立つのではないかと期待しています。日頃、授業の1時間半だけしか顔を合わすことのない人たちと日本語についてじっくりと話せるいい機会でもあります。メンバーの皆さまの参加の参加を歓迎いたします。

    0912月 清水記)

     

    TIVONAの会秋のイベント:そば打ち"体験

     

    125日に授業の一環として、豊里の『ゆかりの森』にてそば打ち体験のイベントを行いました。土曜の朝9時半という早いスタートにも関わらず、総勢44名の方が参加しました!この日ばかりはいつもは授業で緊張しがちな学習者の方々も、男女問わず可愛らしいエプロンとバンダナを身にまとって皆リラックスした表情に。クラスを超えた楽しい交流ができた一日となりました。

    <?xml:namespace prefix = v ns = "urn:schemas-microsoft-com:vml" ><?xml:namespace prefix = w ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:word" >清水先生の始まりの挨拶をかわきりにいざ☆そば打ち体験の始まりです!「材料を混ぜる→生地を捏ねる→のばす→切る」といった各行程を、講師陣の指導のもとにおこないます。参加者のほとんどがそば打ちは初めての体験ということもあり、皆で講師を取り囲んで質問攻めです。「これは何ですか?」「何でできていますか?」「今、何をいれましたか?」等々、、、

    講師の方もその質問に丁寧に答えてくださっていました。こういった会話のやりとりを聞いて、一般の日本語話者と触れ合いが学習者の方々にとって一番の学習の機会になるのだろうなぁと改めて感じました。

    最初の材料の調合は味の決め手となる難しい作業であるため、講師の方がしてくださいましたが、それ以降の「捏ねる→のばす→切る」の行程では、参加者が皆で交代しながら協力しておこないました。特に捏ねる作業では、美味しいおそばを食べるためだと、皆さん汗をかきながら必死!また、のばした生地を大きな包丁で切っていく作業では、丁寧に均一にとゆーっくりと切る人もいれば、早さが命とばかりにざっくざっくと切って麺の太さが違ったりする人もいたりと、各々の性格が表れて非常に面白かったです。

    全ての行程が終わり、お蕎麦をゆでている間には「茨城弁講座」が行われました。これは学習者の方々だけでなく、日本人の私でも知らない方言が沢山あって、それなのにある外国の方が答えを知っていて「何で知ってるのー!?」と皆さん非常に盛り上がっていました。

    最後に待ちに待ったおそばが運ばれてきました。皆さん苦労しながらも、楽しんで作った自分たちのお蕎麦です。「美味しい美味しい」と何度も言いながら食べていた姿が非常に印象的でした。

    イベント終了後は「楽しかったー!」「またこういったイベントがあったら参加したい!」という声を沢山頂きました。今後も皆さんに喜んでもらえるような楽しいイベントを、皆で考えて企画していけたらと思います。最後に今回企画・実行していただいた皆様方に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。                          (三浦 智子)

     


    WebJELの補講の報告

     

    1117日・26日に、つくば情報ネットワークセンターでWebJELを使った補習授業を行いました。今期からカピオで勉強を始めた人には、WebJELの使い方を覚えて、自宅でも復習や予習に使えるようにしてもらい、継続している人には、それに加えて、普段の学習の振り返りをしてもらいました。参加者は25名でした。

    実際に利用する様子を見ながら、学生にとっての課題と問題を作成する講師にとっての課題に気付きました。WebJELの操作自体は慣れれば特に問題はありませんが、日本語の入力をどうすればいいか(半角・全角の違い、漢字やカタカナへの変換、等)ということは、人によってはまだ不十分であることもありました。それと関連して、選択式の問題と記入式の問題のバランスを考える必要があります。入力に慣れることが優先され、本来の目的である日本語学習ができなくなってしまうからです。最初の方は選択式を多くし、徐々に記述式も増やすような段階を設けた問題にしていけたらいいのではないかと思いました。

    また、基本的にはひらがな・カタカナで問題文から回答までが作られています。今回、「漢字で入力すると、間違いになる」と学生に言われ、これも課題の一つと思われます。日本語学習や生活環境において、漢字は不可欠ですし、関心が高いものです。今後は、漢字にひらがなを併記する形も採用して、取り入れていければ、漢字にも少しずつ慣れていけると思います。

    なにはともあれ、実際に使用している様子を見ると、誰もがみな夢中になってやっていました。ときどき手が止まっている学生には、先生方がフォローやヒントを与え、「ああ、勉強したっけ」というような風景も見られました。今後もこのような機会を設けて、学生へWebJELの使用を促していければと思います。                            (飯塚知子)

     

    日本語ボランティア講師のための講演会

     

    内容:  コミュニケーション能力を伸ばすには

    日時:  2010220日(土)   13001600

    会場:  つくばサイエンス・インフォメーション大会議室

    講師:  西村よしみ氏(筑波大学大学院人文社会科学研究科教授) 参加費:300円(会員は無料)

    南米研修生の日本語研修実施(8月)

     

    県の国際課が毎年アルゼンチン・ブラジルへの移住者の子弟を招待して各種専門分野の研修をおこなう事業を実施していますが、今年は半年にわたるホテル事業と大学での保健体育関係の研修を受けるために2名の研修生が来日、その前段階の日本語研修をつくばで実施したいということで、約1カ月の日本語研修を財団・TIVONAの会・欅の会が合同でこれを受けました。

    日本語の研修は8月7日から31日までの約100時間、インフォメーションセンターに場所を借りてTIVONAの会から7名、欅の会から2名が講師となって実施され、無事終了。その後彼らは現場での研修に入っています。この1か月の研修プログラムを作成するにあたっては、通常の一般社会人を対象にした授業とは異なりいろいろと考えるべき要素が多かったのですが、その段階で気がついたことを以下に取りまとめて報告に変えたいと思います。

       現場での研修の内容・目的をはっきりさせて、それに適合した日本語研修の内容を考えること。

       研修プログラムを作るためには研修生の日本語レベルを知る必要があるが、これは来日するまで分からない。これをどうチェックするか。

       実施してみて分かったことであるが、日系2世・3世でも日本語を学習するプロセスはいろいろあり、いわゆる日本語教育のプログラムに従って勉強してきた人、あるいは日本人社会の中で耳から日本語を学び身につけた人などいろいろの日本語がある。とくに後者の人たちにどのように日本語を教えればいいのかは我々としては未知の分野であった。

       その他、100時間を飽きさせずに勉強できるプログラム作り、講師陣のチームワークの重要性など。

     我々としては未経験の分野に踏み込んだ状況で、考えられる範囲ではベストを尽くしたつもりですが、これが後の現場での研修にどの程度役に立っているのかどうかはこれから検証する必要があるように思います。関係者の皆さま、とくに事務局にはいろいろお世話になりました。ご協力に感謝いたします。                                (清水 晃)

     

    「文化庁日本語教育大会」に参加して

     

     平成21828日に毎年恒例の文化庁主催の日本語大会が昭和女子大学で行われました。

    全国から日本語教育に関係する人たちが集まっているようでスーツケースを引っ張っている人も多かった。名古屋からは衣川先生もいらしていて再会を喜び、近況報告などをしました。

    午前中は芥川賞作家の楊 逸氏(ヤン・イー)の講演「言葉と交流」があり、日本語学習をした立場から学習のための学習ではなく楽しみ、興味を持たせることの大切さを話された。

    午後は「『生活者としての外国人』のための日本語教育の標準的な内容」についての話があった。「健康・安全に暮らす」ことから「子育て・教育を行う」事や「社会の一員となる」ことなどの目的を果たすための日本語を学ぶためにどんな内容の構文が必要かという話があった。

    その後、パネルディスカッションや事例報告があって、埼玉県、群馬県、愛知県、兵庫県、秋田県などの取り組みが紹介された。私達の教室との違いも感じられて興味深かった。  (川辺千恵子)

    インフォメーションセンターの日本語クラス

     

    日本語クラスは毎週水曜日10時~12時につくばサイエンスインフォメーションセンター〔元のインフォメーションセンター〕3階で開かれています。前期は,715日~916 まで,後期は 114日 から33日までの予定です.教科書は「にほんご24じかん1」を使用しています。仕事を始めたい人のために、なるべく実生活ですぐに話せるような日本語をと考え勉強を進めています。ひらがな、カタカナを覚えるだけで大変なので、会話まで持っていくのは難しいです。また、日本語が嫌になってはいけないので、アクティビティの要素を取り入れながら学習を進めるようにしています。

     今回私は、にほんご2のクラスを担当させて貰っています。皆さん、国はアメリカ、エジプト、イスラエル、韓国とちがい、母国語もちがいます。教科書を勉強しながら、日本語で、時には英語も交え、各国の事情について話をしたりします。それぞれの国の銀行の開いている時間がちがうことがわかったりして面白いです。しかし、時に文法的にかなり難しい質問が出て、どっきりすることもあります。

     財団の方、または先生から、地域のイベントについての情報が提供されることがあり、前期には、つくば市の防災訓練、公園での盆踊り大会、今期では、お茶会、そばうち体験のお知らせなどがありました。地元のつくば市でのいろいろな行事を通して、日本文化を肌で感じて貰えたらと思います。                                   (服部 敬子)

     

     

     TIVONAの会 活動記録(097月―11月)

     

    7/9 茨城県国際交流ネットワーク会議(水戸)出席(大木・清水)

    7/17,8/229/19,10/17,11/22 落とし穴勉強会

    7/18202526 入門講座(担当:川辺・清水)受講者14

    7/731 県南米研修生日本語研修対応協力

    7/159/16 インフォメ・クラス第1期(2時間*16回)

    8/28 文化庁日本語教育大会(東京)出席(川辺・清水)

    9/89/10 カピオクラス第34期終了

    9/2910/1 カピオクラス第35期スタート

    11/4 インフォメ・クラス第2期開始

    11/1711/26 WebJEL補習授業(ネットワーク・センター)

    TIVONAの会事務局)

    阿部眞理さん

    担当:にほんご1

    たくさんの外国人の住んでいるつくば市に住み始め、以前から、みなさんと交流すると同時に役にたてることがあったらと日本語ボアランティアについて考えておりました。仕事をしながらでは準備もできませんので一歩ふみだせませんでした。第34期講座より仲間にいれてもらうことになりました。経験者の皆さまの授業方法を学びながら、受講生のみなさんが、楽しく理解し生活に生かせる講座になるように努力したいと思っております。

     

    森本愛さん

    担当:日本語の会

    私はこのお仕事を通じて、日本に来ている外国人に様々な手助けをしてあげたいと思っています。かつて私は海外に何度か住んだ経験があり、異国での生活が短期旅行のように楽しい事ばかりではない事を学びました。ジェスチャーや衣食住と言った生活習慣の違いや、病気や怪我による通院、人間関係、伝達方法の難しさに困惑してきました。一方で地元の方々に親切にして頂き、たくさんの友達もでき、良い思い出ができました。これらの経験を生かして、外国人の方々に日本の素晴らしい文化や人間関係を築いて頂くお手伝いが出来ればと思っています。ボランティアの関係者の方

    々は明るくとても親切です。この教室が彼らの心のよりどころになれるように努力してゆきます。これからもどうぞ宜しくお願い致します。

     

    関野幸枝さん

    担当:にほんご2

    はじめまして。関野幸枝と申します。土浦に住んでおります。平日は、病院で福利厚生の事務を担当しております。火曜日のにほんご2を教えております。にほんごを教えてみようかと思ったきっかけは、仲間をつくり様々の環境の立場の方々と対話をしたかったからです。にほんごは、ほとんど日本国でしか通用しませんが、とても音のきれいな言語で、魅力的です。目をつむって心を空っぽにして聞いてみるとそれがよくわかります。

    教え方のモットーは、くりかえしくりかえし です。スムーズに口から出てくる日本語会話をめざしております。どうぞ、よろしくお願いいたします。

     

    35期の教室に初参加の先生紹介

     

     

    編集後記:  早いもので今年も残り少なくなりました。暖冬だった今年の冬も最近、本格的な寒さがやってきて、街はクリスマス、師走の雰囲気が漂っています。教室ではクリスマスホリデーで帰国する生徒が多くて少し、淋しくなったのでは。

    今年を代表する漢字が「新」でしたが、いつでも、どこでも、新しい経験はあるものですね。

    個人的には今年教えた生徒の中に、今まで教えた事がない国の生徒が4人もいました。4カ国に親近感を感じられて楽しかったです。来年はどんな出会いがあるでしょうか。(か)


    TIVONA通信第53号

    TIVONA通信第53号





    「納豆は好きですか」<?xml:namespace prefix = o ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:office" >

     

    このあいだテレビで外国人のタレントが納豆について話すことを聞いていてハッとしたことがあります。そのタレントが言うには「日本にいる外国人がよく受ける質問に『納豆は好きですか』というのがあります。じつは私は納豆が好きでよく食べます。でも聞かれたときは『納豆は嫌いです』と答えます。なぜなら『好きです』というと、たいていの日本人がガッカリしたような顔をするからです。」

    我々もテキストの9課で「~が好きです/好きじゃありません」を勉強しますから、ときどき納豆の好き嫌いを質問することがあります。納豆自体は外国人の間にも有名な存在であるようであまり問題はないようですが、どういう返事を期待して質問しているかを考えると、どうも「好きじゃありません」という返事を期待しているようで、外国人にたいして知らぬ間にステレオタイプな見方をしてしまっているのではないかというところに気づかされたわけです。

    つくば市には現在、7,600人ほどの外国人が長期滞在していますが、これらの人たちが様々な文化的背景を持っていることは確かです。こうした多様な人たちと日本人社会はどう接すればいいのかは難しいテーマであります。最近はどこの町にも外国人が居て、日本語教室やイベントの企画などがあり、我々もそのあたりを手伝っているわけですが、これらは交流の入り口であることは確かであるにしても、これで国際交流が十分に果たせていると考えるのは少しステレオタイプであるように思います。さまざまなアクションが多様な外国人のニーズにかなったものなのかどうかはあまり検証されているようには思えません。彼らは我々にとってのお客さんであると同時に、つくば市の住民であり構成員でもあるわけです。これらの人たちが日本人社会に何を期待しているのかあるいは何をしたいと考えているのかを知ることにより、つくばの国際交流をもっと効率のいいものにするのも大事なことであると思います。ビジネスの世界では、マーケッティングはマーケットのニーズ調査から始めるのが基本ですが、国際交流の世界でも同じなのではないかと思います。(清水 晃)


    <?xml:namespace prefix = v ns = "urn:schemas-microsoft-com:vml" > 
    日本語ボランティア講師のための講演会に参加して

    2月20日、「地域日本語教育システムにおける日本語教育の役割から」というタイトルの講演会(於:インフォメーションセンター)に参加しました。講師は筑波大学留学生センター教授、西村よしみ先生です。ボランティアとして地域で日本語を教えている方々が集まり、ワークショップ等の作業を通じて、活発に楽しく日本語教育について考えました。

    1.つくば市の外国人

    つくば市の人口のうち3.6%を外国人が占めており、中国、韓国・朝鮮、ブラジルの順に多いとのことです。国は131カ国にわたり、研究学園都市であるつくば市の大きな特徴となっています。こうした、外国人が生活するにあたり、日本語を必要とするのはどのような場面かというようなことを中心にお話がありました。

    2.ワールドカフェ

    後半は、4、5人のグループに分かれて、「日本語ボランティアの問題点」を考えました。「ワールドカフェ」という話し合いの手法で、模造紙を前にして思いついたことを紙に書いていくというものです。次々といろいろな意見が活発に出され、話し合いが大いに盛り上がりました。その後各グループが記入したものを集めて西村先生が問題点を整理、分析して下さいました。ここで挙げられたのは、大きく分けて「クラス管理」「練習方法」「教材(テキスト)」「授業運営」「日本人との接触場面」などの問題でした。

    3.会話(教材)をつくる

    最後の活動は、「教材作り」です。場面は病院へ行き、診察室のドアを開けたところからの会話を考えるというものでした。会話には「型」というものがあります。こうした会話の「型」を練習するのは学習者にとって有益です。想像力を逞しくして会話を考え、それぞれグループ毎に発表しました。私たちのグループでは、医者の発話を「食欲はありますか?咳は出ますか?」としたところを、西村先生が「食欲は?咳は?」にしたほうが初級学習者の負担が少なくなると指摘され、なるほどと思いました。

    4.ジャパニーズ・カフェ

    3時間の講演会でしたが、上記のような活動を通じて、ボランティアとして様々なことを考える良い機会となりました。テキストの「会話」の重要性も改めて認識しました。また、外国人にとって必要な日本語とは何なのか、そしてそれを授業に活かすにはといったことを考えました。

    今回のグループワークでの話し合いの中で、日本語でおしゃべりをして交流できる場があったらという話がでました。日本語で話をする場がないという学習者の方々の声があります。「ジャパニーズ・カフェ」ができたら!と、切に思いました。(坪川文子)

     

     

     


    第2回「日本語で話そう!つくばチャレンジ」

     

     1月31日、つくばサイエンスインフォメーションセンターにて、外国人のための日本語ディスカッション大会「日本語で話そう!つくばチャレンジ」の第2回大会が開かれました。今年は32名の方が出場し、応援の方々もたくさん集まって活気のある大会となりました。審査員または運営ボランティアとして、TIVONAの会からも多くの方が参加しました。

    <?xml:namespace prefix = w ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:word" >ディスカッションは初中級と中上級に分かれて行われました。初中級では「パンvsごはん」といった身近なテーマで、自分の考えを日本語で伝えることに重点が置かれました。中上級では「つくばにあったらいいと思うもの」といった現実的なテーマに加え、「100万円あったら何をするか一つに決める」といった仮想の問題に対してグループで答えを出すテーマなどに取り組んでいました。それぞれ、1グループ3人で予選2回とリベンジ戦、その後本戦を行い、その中から優秀な方々が各賞に選ばれました。

    審査中の東郷さん(中央)

    今回、私は中上級の審査員として参加させていただきました。日本語力と態度という尺度で一人一人に点数をつけていたものの、皆さんとても上手に日本語を使いこなしていて、まさに甲乙つけがたい戦いでした。ただ、相手の発言を受けた上で自分の意見を伝える、またはグループの意見をすり合わせて発展的な議論に持っていくといった高度なスキルが身についている人は少なかったので、まだまだレベルアップしていけるのではと思いました。

    この大会は、出場する外国人にとってはもちろんのこと、審査員や運営ボランティアにとっても学ぶことが多いです。今後さらに継続、発展させていけるよう、できる限りお手伝いしていければと思います。(東郷美香)

     

     

    「日本語で話そう!つくばチャレンジ」に参加して

     

    1月31日に「日本語で話そうつくばチャレンジ」に参加しました。3番目の優勝でした。

    このコンテストの1番すきなところは、とても身近なてーまで、みんながじゆうに意見を発表することです。国がちがうのでいろいろな考え方や見方が出てきました。

    笑顔で話すキャンさん(左)

    今年のイベントには私の14才の息子・マサキもボランティアで参加しました。コンテストをみることはマサキのためにいいと思いました。外国人の大学生たちのがんばりとどりょくを見て、自分もやりたいと思ってくれればいいと思います。いっしょうけん命でやったので、しょうでもらった自転車をマサキにプレゼントしました。昨日も学校でボランティアのしょうじょうをもらいました。みんなの前でもらったのですごくうれしそうでした。(キャン・イボンネ)

     

    意見を述べる鈴木さん(左)

     「日本語で話そう!つくばチャレンジ」に参加させていただき、本当にありがとうございました。色々のテーマについて話しをしましたが、もう少し、日本語や日本の文化について、外国と違うところなどのテーマを出していただくと話しやすくなると思います。グループ分けについては留学生さんと、一般人が分かれている方がよいと思います。一般人を初中級と中上級に、留学生さんは別のグループに分けるようにしたらどうでしょうか。簡単な感想ですがご参考になれば幸いです。(鈴木彩鳳)

     

    鈴木さんは日本語の会から中上級のグループに参加され2回戦で「よくまとまったで賞」を受賞されました。短く感想を書いていただきましたので掲載させていただきます。来年の「チャレンジつくば」のときに参考にしていただければと思います。(清水)

     

     

    日本語の会から

     

    日本語の会の授業で川柳を作りました。傑作が集まりましたので、そのうちいくつかを転載いたします。載せられなかった作品の皆さんごめんなさい。(日本語の会)

    l  楽にして 日本語試験 落になる (キム)

    l  日本語が 上手になって 母語忘れ (スズキ)

    l  日本語で こたえましたが それなに語? (リー)

    l  知らないとき いつもの言葉 「そうですね」 (カク)

    l  これはかな 漢字もあるよ 日本の字 (ノ・ソンヨク)

    l  授業で はやく俳句が 作れません (ヤン)

    l  鎌倉へ 行きたかったが キャバクラへ (ヒョンジュン)

     

     

     

     TIVONAの会 活動記録 (0912月―103月)

     

    l  12/6 教室外イベント「そば打ち体験」於豊里ゆかりの森 参加者~40

    l  12/19,1/16,2/13,3/20 落とし穴勉強会 勉強会メンバー

    l  1/21 つくば学園ロータリークラブへのPR 於フロンティアホテルオークラ 鈴木財団理事長・大木・清水

    l  1/17 南米研修生送別会 於大漁丸 有志

    l  1/27 WebJELサーバー移設打ち合わせ 於筑波大留学生センター 西村先生・大木・中村・清水

    l  1/31 「日本語で話そう つくばチャレンジ」協力

    l  2/6 県交流協会スピーチ・コンテスト 於県民文化センター(水戸) ボランティア審査委員 小林

    l  2/20 筑波大西村教授講演会 「コミュニケーション能力をのばすには」 於インフォーメーション・センター 参加者21

    l  3/5 インフォメ・クラス第2期終了

     

     

    「○○カフェ」ご紹介

     

    つくば市国際交流協会では、つくばコミュニティ放送局(ラヂオつくば)で「○○カフェ」という番組を昨年4月から放送しています。これは、外国人や外国に興味のある方々と、母国の様子(地勢,気候,食事,観光など)や日本での生活(仕事,趣味など)についてお話しするという番組です。実際にお話を聞いてみると、例えばモンゴルで、遊牧生活をしている家族や友人宅を訪ねる時は、「今は冬だからこの辺りにいるだろう…」と移動して、途中ですれ違う家族に「△△さん何処にいますか?」と聞く。すると、「あっちの方角だ」と指差しされ、その方向に向かっていく(指差しした時に腕の角度が地面に対して大きいと遠い距離なのだそうです。)聞いては移動する事を繰り返すうちに目的地に到着するそうです。また、ロシアのカムチャツカ地方北部では、冬は-60℃にもなるけど、湿地帯が凍るから車で移動でき、生野菜を買いに行けていい。夏は飛行機で売りに来るドライ野菜しか食べられないという地域もあるそうです。インターネットや新聞などではわからない地方独特の習慣や文化などをお聞きする事が多く驚きの連続です。

    ウェイトレスもも(大木)とマスター(中村)が「○○カフェ」でお待ちしています。ぜひ、お聞きください。そして、ご出演ください。

     

     

    放送日:毎週金曜日18:30~19:00

    再放送:毎週日曜日12:30~13:00

    周波数:FM84.2MHz(つくば市および周辺地域)

    インターネット(サイマルラジオ):http://www.simulradio.jp/

     

    『子どものための日本語指導養成特別公開講座』の報告

     

      2010224日、25日に筑波学院大学と文化庁主催の日本語指導者のための特別公開講座が同大学で開かれました。両日とも午前の部と午後の部に分かれ、4人の先生方に各1時間半で『子どものための日本語指導養成特別公開講座』による講演をして頂きました。4回の講演にはそれぞれ20人前後の参加者が出席されていました。

      初日の午前は、外国人児童生徒学習支援ボランティアの風の会で活躍されている吉田麻子代表が現状報告をしました。『外国人児童生徒への日本語指導の実践的な試み・活動現場紹介-つくば市の事例-』をテーマに「風の会」の活動の紹介や市内でどのようなボランティアの活動をしているか、日本語指導の教材作りや事例紹介、そして、日本語指導の問題点を語って下さいました。

      午後の部は、筑波学院大学の金久保紀子准教授による『外国人児童・生徒をめぐる問題-地域・学校のこれからの対応-』についてでした。昨今、日本人との国際結婚が普及してきているが、日本で生まれ育った外国人の子どもと親の母国語のズレ、そのズレを理解しようとする日本人教師のズレ、そして外国人が日本で生活する上での問題点を提示したものでした。ここでは外国人が自国の文化を大切にしながら、いかに日本の生活習慣を理解し、溶け込んでいけるかをいくつかの事例で紹介したものでした。  

      二日目の午前は、筑波大学人文社会研究科の西村よしみ教授による『日本語教育現場の指導者の役割-子どもへの足場かけ-』についてでした。子どもの支援に携わる指導者の役割は、単に答えを教えるのではなく、学習の過程を段階的に理解させていけるよう支援することであり、そのために必要な物的・人的環境を整えておく「足場かけ」が重要だと述べたものでした。

      午後の部は、筑波学院大学の亀田千里講師による『日本語教育現場のための言語学入門』についてお話して下さいました。

    日本人である私達自身が意識的に日本語を観察しているか、気にして日本語を使ってほしい。日本語には一連の文章にするためにはルールがある。条件、予測、欲求、使役をどのように使い分け、場面に応じてそれらをどのように表現するかを考えていく内容でした。

      最後に今回の講座を受けられた方たちは色々な視点から日本語指導に興味・関心を持っていたと思います。私もここで学んだ事を出来る範囲から少しずつボランティア活動に取り入れていきたいと思いました。(森本 愛)

     

     

     

    編集後記: 今年の春も梅に始まり、雪柳、レンギョウ、木蓮と次々と花が咲きだします。こんなに春が来るのがうれしいのは寒かった冬をやり過ごし、また、新たに芽吹く生命力を感じるからでしょうね。どれ、私も何かチャレンジしたくなりました。(か)

     


    TIVONA通信第54号

    TIVONA通信第54号





    日本語カフェ<?xml:namespace prefix = o ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:office" >

     

    筑波学院大学日本語クラブ・つくば市国際交流協会・TIVONAの会共催でこの5月から月1回の「日本語カフェ」が始まりました。現状はまだトライアルで、7月までの3回が計画され、56月の2回が終わった段階です。これまでの2回は、「つくば市の国際交流事業」「筑波山を楽しむ」といったテーマで、集まった外国人/日本人2030名で日本語による情報交換をおこないました。現段階でこのイベントの成否をいうのは尚早ですが、日本人側からも外国人側からも「知って得をする」情報はいろいろあるはずで、こういった情報の交換・共有が多文化共生社会の入り口になることは間違いないということで始めたわけです。また、マルチナショナルな友達ができればいい、外国人にとっては教室の日本語ではなく実際に使われる日本語のブラシュアップになればいい、といった欲張った目的も持っています。

    国際交流を考える場合、交流のために新しい仕掛けを考えようとするとコストがかかります。日本人社会にすでにあるシステムを活用できれば効率的ですが、現状日本人社会のシステムを外国人側がどの程度理解し利用しているかという点がよく分からないところです。実際には言語の違いによるコミュニケーションの壁があり、それをカバーするための努力がいろいろおこなわれています。例えば行政は広報のために翻訳版を作るなど、交流協会もいろいろなサポートを提供しています。問題はこれらの努力が外国人側のニーズを満たしていて、かつうまく伝わっているのかどうかにあります。市内在住の外国人は必ずしも組織化されているわけではないので、必要な情報を必要な人に伝えることも意外に難しいように思います。外国人としても知っていれば有用な情報をみすみす見逃している場合が多いのかもしれません。また日本人社会のシステムが外国人にとって使いやすいものであるのかどうか、なにが問題なのかは我々には見えにくい部分なのですが、日本語カフェはそのあたりを知る一助になることも期待しているわけです。

    このような情報ギャップを埋めることを目的に始めた日本語カフェですが、うまく機能するようであればトライアルの段階から定常的な会合へと進化させていきたいと考えています。TIVONAの会のメンバーの方々にも参加していただいていますが、さらに関心を持っていただき、どう改良すればいいか、これからの進化へのご協力をお願いできると幸いです。

    107月  清水 記)

     

    日本語教室の生徒ががんばっています。

    みんなさん、こんにちは。初めまして、私はインドネシアから参りましたルッシーと申します。私は主人の仕事の関係で家族全員で筑波に来ました。つくばに来てちょうど2年になりました。子供が3人いて、皆男の子です。長男は今、中学一年生で、次男は小学四年生と三男は三年生です。子供達 は普通の日本の学校に通っています。私は去年から筑波大学大学院の研究生として勉強しています。

    初めてつくばに来た時は, 友達がいなくて寂しかったです。ネットからカピオで日本語コースがあるということが知ってすぐ申し込みまし た。カピオでは日本語の勉強だけではなく、たくさんの友達と交流し、いろいろな国々について知ることができました。それに、カピオの先生方に日本語能力試験の過去問題を教わったり、コピーしたりしていただいたおかげで、去年の七月に日本語能力試験の一級に受かりました。本当にありがとうございました。また、皆と一緒にいろいろなイベントに参加しました。例えば、そば体験作りやカラオケやラジオ放送な どです。とても楽しくていい経験になりました。

    私はつくばにいる間に経験した楽しいことをインドネシアに帰ったら友達や学生などに土産話として紹介したいです。また、ぜひ次の日本語コースに参加させて いただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。            (Lussy Ridwan

     

    日本語教室の先生もがんばっています。

    幸運なことに、9月からフランス・グルノーブルにあるグルノーブル第三大学(スタンダール校)で日本語教師として働くことになりました。しかし、3年以上続けてきた日本語講座とは、一度お別れしなければならず、少しさみしい気持ちでもあります。

    私は大学から大学院へと進み、日本語や日本語教育に関して学んできましたが、実践として教える機会は、この日本語講座だけでした。今思えば、ここで培ったことが私の基礎となっています。

    一番多く経験したのは日本語の会です。よく「大変だったのでは?」と聞かれますが…(笑)。日本語の会を5期も(?!)やったことから、「学習者にとって意味のあることとは」という命題を常に持つようになりました。テーマ探しには苦労することもありましたが、「どういうことが必要・知りたいことなのか」「自分が海外に暮らしていたら…」と考えてみると、いろいろ出てきます。ときには彼ら自身が必要とするものを教えてくれました。クラスが変わって、にほんご34の担当になっても、教科書を用いた練習で「それを身につけるとどうなるのか」、つまり、日本語を使う必然性を考えながら進めるようにしました。こういうことに気づかせてくれたのも、この講座のおかげだったと思っています。

    これから行くグルノーブルには、2年前に訪れましたが、それを思い出してみると、つくばに似ている気もします。大学がいくつかあり学生の多い街ですし、フランスで2番目に大きい街のリヨンへは電車で1時間と、まさにつくば-東京間のようです。違うのは山に囲まれているところぐらいでしょうか。そんなところで、日々奮闘したいと思います。

    皆さま、お元気で。また近況報告ができればと思います。Au revoir !!(さようなら)

                               (飯塚 知子)

     

    教材調査と新規図書購入

    630()日に会員有志6名で麹町の凡人社に教材調査に出かけました。自薦・他薦の図書を購入しましたが、今回はメンバー自薦のものについて推薦文を書いてもらいました。それ以外の購入図書のリストは最後にありますので、推薦図書と合わせてご利用ください。(事務局)

    ●『初級が終わったら始めよう にほんご 敬語トレーニング』 金子広幸 (アルク)

    敬語は日本人にとっても難しい言葉です。日本人は会社、学校、家族、友達といった様々な場面で言葉を使い分けています。ここでは、初級を終えたクラスから始められる内容になっています。ロールプレイでは生活に密着した場面を設定しており、生徒一人ひとりに主人公になってもらい練習をしていきます。実践的な練習が多いため、話す機会も多く、楽しんで勉強していけます。(森本)

    ●『直説法で教える日本語』 亀山郁夫(東京外国語大学出版会)

    これをマスターすれば先生になれる!『みんなの日本語』にそった指導書になっています。初心者の先生に分かりやすく解説してあります。日本語教育に関心を持つ人、日本語教師になろうとする人のための教育法としても利用できます。実践的な指導書で、指導の留意点や板書例なども丁寧に説明してあります。カラーイラストCDも付いていて、具体的な文型例もたくさん紹介されています。授業進行に役立ちます。(森本)

    ●『どんなときどう使う日本語表現文型500』 友松悦子、宮本淳、和栗雅子 (アルク)

    既に購入済みの『どんなときどう使う日本語表現文型200』の中、上級版になります。中上級レベルでの表現文型を例文や練習問題を通して、体系的に学ぶ事ができます。日本語能力試験12級の出題基準(文法)に出ている機能語をすべて網羅しているので、受験準備に最適です。機能語の総復習にも役立ちます。(谷津)

    ●『Japanese for Busy People : The Workbook for the Revised 3rd Edition 日本語普及協会 (講談社インターナショナル) 場面を体験できる実用会話が収録されているワークブック。この教材は4コマや8コマの漫画で描かれており、場面の説明をする必要がないため、媒介語がない初級段階での指導に有効です。CDを使って音声によるインプットができますし、またタスク先行の授業として、最初はCDの音声を聞かずにイラストからヒントを得て会話を作ってみる練習を行った後で、音声を流して会話を聞き取らせてみるといった使い方もできます。(三浦)

    ●『新しい「日本語能力試験」ガイドブック 概要と問題例集 N1,N2,N3』(CD1枚付)

    国際交流基金・日本国際教育協会 (凡人社)

    ●『同上 概要と問題例集 N,N5』(CD1枚付)(凡人社)

    2010年から新しい「日本語能力試験」が実施されることになりました。従来の1級から4級は、N1N2N3N4N5の5階級になります。N1N2は1級、2級と同じレベル、N3は2級と3級の間のレベル、N4N5は3級と4級と同じレベルとされています。この本には新しい能力試験の概要と各レベルの問題例が編集されています。読み書きクラスには毎年数人の能力試験受験者がいるので、その人たちの受験準備に活用できると思います。(守中)

    ●『日本語の教え方のコツ』 清ルミ(アルク)

    初対面の挨拶や自己紹介など我々のテキストの第1課に相当する内容の授業について、著者の授業をDVDに収めたものです。授業をどのように組み立てるか、授業の前に準備すること、考えておくべきことについての解説があり、それを実際の授業の形にするとどのようなものになるかを映像でみることができます。DVDに収められた清氏のテンポのよい授業の進め方は、ベテランの先生方がご覧になっても参考になるのではないかと思います。(清水)

     

     

    ¡VAMOS A KARAOKE! カラオケへいきましょう!

     

    三月二十三日火曜日日本語のクラス休業日。残念!

    日本人と結婚している方にとって日本語のレッスンはとても重要なことです。学生と違って、私たち主婦として学ばなければならない事は山ほどあります、しかし勉強する時間が少ないです。

    日本語のレッスンがなければVAMOS A KARAOKE!!(カラオケへ行く) みんなこのアイディアに賛同してくれた。先生やLucy,Cathy, パレさん。。。Let’s go! VAMOS A KARAOKE!!

    Capio 近くにあるカラオケで計画を実行しました。私はカラオケの経験がないのに困ってしまった。そのごろ、私の友達は入院していたので病院に通ていて、ちょっと忙しかった、カラオケなんて、かんがえには。。。

    その日カラオケに向かって運転しながらCarpentersの歌を聞いていて:

    <?xml:namespace prefix = v ns = "urn:schemas-microsoft-com:vml" > 

     突然に、そうだ!歌の通りすればいいと思った。カラオケにつくと八人集まりました。高橋先生と小林先生含めて。歌捜し出す人がいたのでよっかた!

    最初高橋先生が幸せなる手を叩くの歌を歌いました。みんな遠足に行ったようでした。のそみさんが演歌を歌テ、とても上手だ田。ちぇんさんもよかった。小林先生がStand by Me….woo!  Cathy Luy さんは Lambada!!!

    私は、Vamos a bailar! La Bamba, Dancing Queen ….突然みんな、この音楽を聞くと気分が高揚して。素晴らしい変身し又。中国人、日本人、ミヤンマ人、インドネシア人、タイ人、フィリピン人、メキシコ人Sing, sing a song Let the world sing along。。。ほんとに国際的なカラオケ。

    カラオケとは上手と下手よりみんなで楽しくと歌う場所です。(Irma  G. Kuwahara     

    アルバムから


    <?xml:namespace prefix = w ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:word" >515日つくばフェスティバルでTIVONAの会は恒例のヨーヨー釣りのお店を開きました。今年は天気にも恵まれ、多くのちびっ子が遊びに来てくれて盛況でした。売上400個目標達成。

     


    73日から4回、日本語ボランティアを対象に入門講座を開きました。定員16名を超す応募がありました。(左:川辺先生 右:清水先生)

     

                               


     

    新人先生紹介

    市川小夜子

    この四月から第36期に参加させていただいています。また、同時に日本語教師として働き始めました。まだ何も経験がなくすべてが初めてですが、とにかくやってみることでこれから積み上げていきたいと思っています。経験豊かな諸先生方にお世話になってばかりですが、国際色豊かなつくばで、多文化交流に関わりたいと前から思っていたので、少しでもお役にたてるよう成長したいです。

    榎 史郎

    昭和12年生まれ、子供の頃は東京の池袋で過ごしました。昭和35年に現在の三菱化学に入社、その後製薬会社の生化学工業に勤務、現在は遺伝子治療のベンチャー企業アンジェスMGを手伝っています。50台の頃、3年半程の米国勤務を経験、日本文化について何にも知らないのに気がつき、一番日本的なものと思える日本語を勉強しようと朝日カルチャーセンター(新宿)に通いました。牛久市に移って28年になります。  

    大内薫子

     

    にほんご3の大内薫子と申します。つくば市在住の大学院生です。始めてから4カ月近くたちますが、毎回緊張と失敗の連続で、周りの先生方をハラハラさせています。授業中も自分のことばかりに気がいってしまうのですが、もっと受講生のみなさんを見て、良い授業ができるようになりたいです。これからも、みなさんからたくさんアドバイスをいただけると幸いです。

    高原真理

    筑波大学大学院で日本語教育を学んでおります。大学時代の留学経験から国内の国際交流に興味を持ち、身近に住む外国人の方々との関わりを大切にしたいと思うようになりました。この度、日本語ボランティアに参加させていただくことができ、毎週とても充実しております。日本語の授業をするのはまだまだ慣れていないため、試行錯誤の連続ですが、ボランティアのみなさんや学習者の方々に色々と教えていただきながら頑張りたいと思います。

     

    TIVONAの会 活動記録(104月-7月)

    4/1,636期教室開始 ●4/17TIVONAの会総会(13名) ●4/17,5/19,6/19,7/17:勉強会『学習者によくわかる教え方(竹園公民館) ●4/24WebJEL講師説明(8名、ネットワークセンター) ●5/15:国際交流フェアヨーヨー屋出店(8名) ●5/22,23WebJEL補習授業(10名、17名 ネットワークセンター) ●5/28:財団理事長への活動報告 ●5/29,6/25,7/31:日本語カフェ(~20名、筑波学院大) ●6/16:図書整理(7名) ●6/29:県国際交流ネットワーク会議(4名、水戸) ●6/30:教材調査(6名、凡人社) ●7/3,4,10,11:ボランティア講師入門講座(16名) ●7/4:教室外活動下見(7名、東京向島・浅草) ●7/10:暑気払い懇親会(17名、魚民)

     

    編集後記

    今年の暑さは異常です。人間の体温より気温が高くなるなんて、そして、熱中症で何人も亡くなるなんて信じられません。でも、いくら暑くても甲子園では高校野球が行われているし、日本各地で夏祭りがあるんですね。私は今年、青森ねぶたに行ってきました。長い期間寒さを我慢している青森の人々がはじけていました。パワフルでした。私も今年のつくばのねぶたで跳ねてみようかな。(か)

     


    TIVONA通信第55号

    TIVONA通信第55号





    カスタマー・オリエンテーション/顧客満足<?xml:namespace prefix = o ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:office" >

     

    表題の言葉はビジネスの世界でよく使われる言葉ですが、言うまでもなく顧客が何を望んでいるかを知り、その期待に応える対応をすることがビジネスでの鉄則であり成功の鍵であるということを言っているものです。われわれはビジネスをしているわけではありませんが、我々の顧客は受講生になります。

    先日、某先生と「教科書を一生懸命説明し練習してもなかなか分かってもらえない/使ってもらえないことがよくあるけど、テレビや漫画などからとくに練習したわけでもないのに簡単に新しい表現を吸収しちゃうのよね」といった会話をしました。この違いは学習者が本当に言いたい表現や語彙に出会ったときには、容易に吸収して使うことができるようになるということなのでしょう。これは、われわれが外国語を勉強しているときにも経験したことがあるプロセスなのではないでしょうか。要するに会話でも表現でも語彙でも学習者のニーズに合ったことはすぐに吸収できるということなのでしょう。

    しかしながら、われわれの教室へは多くの国からいろいろな目的を持ってつくばへ来ている人々が集まってくるわけで、彼らがなにを表現したくてなにを教室に期待しているのかを把握するのは容易なことではありません。いろいろと聞いてはみるものの結局は個々とのコミュニケーションを深めることが各々の事情を理解するのに必要になります。本来ならば、彼らの生活のバックグラウンドがどのようなものか、どのような日本語環境にあるのかなどの情報が授業に反映される必要があるのでしょう。授業を進めながらなんとなく言っていることがしっくりとこないことを感じることがありますが、これは受講生のニーズとのギャップを見ているのかもしれません。

    自省を込めて言えば、授業をどう進めるかについてとかく頭がいっぱいになりがちですが、その前提として何を求められているのかを考えること、また授業の後で受講生の要求に合ったものであったかどうかを振り返ってみることも大事なプロセスなのではないでしょうか。もとよりプロの先生でも難しいところなのでしょうが、受講生のニーズを知り少しでも期待に応えられるようなクラスを作りたいと思います。週に1時間半は短い時間ではありますが、短いだけに結構難しい1時間半です。

    1012月  清水 晃)

    上海・復旦大学便り

    2010/12/19

    田中祐輔(復旦大学外国語言文学学院日文系)

     

    はじめに

    2006年よりTIVONAの会でお世話になっております田中祐輔です。

    20092月から上海の復旦大学に赴任し、日本語教育に携わっています。上海や赴任校の日本語教育事情について紹介したいと思います。

     

    1.上海と日本・日本人・日本語

    1-120年ぶりの上海

     高校国語教諭である父が、日中友好事業の一貫で日本語教師として中国の大学に派遣された関係で、1989年から91年までの3年間、遼寧省大連市の中山区第一幼稚園・解放小学校に通いながら、中国で生活しました。滞在期間中、1990年に父の出張で何度か上海を訪れることもありました。当時から経済都市として栄えていましたが、現在はさらに、世界中からヒト・モノ・カネが集まり、上海は活気を呈しています。

     

    1-2.海外現地法人企業数最多、長期滞在邦人数9.4倍、大学日本語専攻学習者数27.8

    JETROの発表1によると、日中貿易は2007年に輸出入総額で2,3664,035万ドルとなり、初めて日米貿易のそれを上回りました。日本の海外現地法人企業数も増加し、30%は中国にあります。中でも上海には特に集中し、1,453社となっており、北京(239社)の約6.1倍と大きく差を付けています(経済産業省,2010)。

    このような深い経済関係を反映して、200910月時点での上海市における長期滞在邦人数は48,146人で世界第12となり、1996年調査の5,141人と比べ、13年で約9.4倍と大きく増加しています(外務省,1996,2009)。そのため、私が訪れた1990年のように、「日本語学習者が毎日早朝に市の中心街にバスで向かい、目をのようにして日本人を探し、見つけたら会話の練習相手として話しかけたり、書籍や新聞を譲り受けたりする」といったことがもはや信じられないような状況となっており、復旦大学でも日本人留学生が沢山いるため、日本語学習者達のランゲージエクスチェンジのパートナー探しには苦労しないようです3

     実際、私が最初に上海を訪れた1990年には、上海市で日本語専攻学科修士課程・本科・高等専門科を含むを設置している大学は6校、在校生625名(王,1996)でしたが、2006年には、日本語専攻学科は41校、学習者数は17,392人となり、約27.8倍となっています(国際交流基金,2008)。

     

    2.復旦大学外国語言文学学院日文系の紹介

    2-1.高度日本語専門人材養成機関

     復旦大学は、1905年に設立された中国国家教育委員会直属の重点大学です。

    外国語言文学学院日文系(日本語学科)は1970年に開設され、201012月現在、定員は一学年24名、専任教員は13名(うち「外国専家」と呼ばれる日本人教師1名)となっています。学科が掲げる目標は、「確実な日本語力と広範な科学文化の知識、すなわち外交、貿易、文化、新聞、出版、教育、科学研究、観光等の部門において翻訳、研究、教授、管理業務に従事することのできるハイレベルかつ専門的な日本語を身につけた人材を養成する。」(茂住,2003)であり、スピーチコンテストでの入賞者や、上海地域における日本語能力試験上位合格者を輩出する高度な日本語専門人材養成機関となっています。

    2-2.担当科目

    精読

    ニュース読解聴解

    日本語作文

    日本概況

    日本文学史

    古典文法

    古典文学読解

    日本人教師担当科目

    私が担当する科目は、学期(二学期制)によって変わりますが、概ね24年生を対象に、上に示した科目が週14コマ(1コマ45分)ほど開講されています 2年生では、「日本概況」といって、現代日本の姿を、各種メディア情報(新聞、雑誌、ニュース映像、報道写真、音楽、映画、ドキュメンタリー)をもとに理解する授業があり、政治・経済から教育・文化・世代と非常に幅広いテーマを扱っています。3年生では、「精読(日本語Ⅲ)」という読解活動中心の授業が週に6コマ開講されています。文学作品、学術論文、エッセー、評論、ブログ記事といった幅広い読み物を対象とし、いわゆる「日本語能力」だけではなく、教養力と実践力を養うことが目標とされています。34年生にかけては、「日本文学史」の授業で古典文学から近現文学を扱い、時代ごとにおもな作品(原文)に触れ、文学上の特徴やそれぞれの主張・主義を通して、各時代に生きる人々への影響、あるいは、時代背景の理解を目指しています。また、4年生の「日本語作文」では、卒業論文を執筆するために、主に学術論文を作文する力の育成がなされ、研究計画から論文執筆、そして、プレゼンテーションの仕方などが指導されます。

    授業以外では、年2回開催されるスピーチコンテストの指導(原稿作成、発音指導、現地同行)をしたり、卒業論文執筆の指導を行ったりしています。日本の大学への留学を希望する学生も少なくないため、そういった学生の研究計画書を添削したり、相談に乗ったりすることもあります。

    2-2.学習状況

     復旦大学外国語言文学学院日文系の学生を対象とした調査4によると、日本語を学ぶきっかけとしては以下のような回答が上位を占めました。

    1

    日本のドラマ・アニメ・音楽・ゲームなどが好きだから

    2

    日本語(外国語)に興味があるから

    3

    日本の文化が好きだから

    4

    その他(受験制度のため、就職のため、日本文学への興味など)

     「日本のドラマ」「日本のアニメ」「日本の音楽」なども「日本文化」に含めると、「日本文化」への関心が日本語学習の大きなきっかけになっているといえます。また、調査の結果からは、学習者は日本語で日本人とコミュニケーションすることを大きな目的のひとつにしていることが明らかになったと同時に、特に日系企業への就職など、仕事において日本語を使用することも視野に入れていることがわかりました(田中ほか,2010

    2-3.卒業後の進路

     卒業後の進路としては、大学院進学(2009年卒業生では復旦大学、香港大学、東京大学、早稲田大学、慶応大学など)・日系企業就職(本社・現地)・日本以外の外資系企業就職・中国国営企業就職・中国民間企業就職などが挙げられます。就職難と言われる昨今ですが、各自複数の企業や大学での採用が決まり、その中から自らにとって最も将来性があるものを選択しているようです。

     

    おわりに

     以上、上海や赴任校の日本語教育事情について紹介しました。私が与えられた仕事は日本語・日本文化に関するあらゆることを学生達に伝えることですが、日々、学生から教わることも多く、よりよい「学び」は学生と教師の協働によって成り立つということを実感しています。一方的に私から学生に教え込むのではなく、学生達もまた、主体的に発信できる場をつくりたいと考えています。今後も、教育実践と理論研究の両輪で日本語教育に取り組み、学生達の「学び」の環境の一層の充実に取り組んでいければと考えています。

    【注】

    1.ジェトロ中国北アジア課「2007年の日中貿易貿易総額で中国が米国を抜いて第1位に、相互依存がさらに進展」『記者発表』2008228日.

    2.永住者を含めるとロサンゼルス、ニューヨークに次いで世界第3位。

    3.中国から日本への留学生は80,592人(20055月)、日本からは19,059人の留学生(2004年)が学んでいる(在中国日本国大使館「日中両国の交流及び協力の概況」20066月)。

    4200912月に実施した「復旦大学日本語学習状況調査」。調査対象は、14年生の男女53名。大きく分けて「日本語学習を始めたきっかけと動機づけについて」「日本語学習に求めるもの」「教科書についての考え」「日本語学習についての考え」について、全23項目に自由記述の形で回答を求めた。

     

    【参考資料】

    王宏(1997)「1996年上海日本語教育事情(特別報告)」『国際交流基金日本語教育通信』第28号、pp.7-9

    外務省「海外在留邦人数統計」平成9年版(1996101日現在)、平成22年版(2009101日現在)

    経済産業省(2010)「海外事業活動基本調査―平成202008)年度実績―」

    国際交流基金(2008)『海外の日本語教育の現状―日本語教育機関調査・2006年―』

    在上海日本国総領事館「上海概況」201011

    田中祐輔・伊藤由希子・王慧雋・肖輝・川端祐一郎・復旦大学学生実践調査員(2010)「中国の日本語専攻大学生に対する日本語教科書の課題学習者への学習状況調査を通して」『大学外語研究文集』11pp.362-381

    茂住和世(2003)「中国上海復旦大学日語日文科における日本語教育」『東京情報大学研究論集』62)、pp.171-181

     

    ☆筆者の田中祐輔氏は筑波大におられたときにカピオ教室の講師をしていただきました。『月刊日本語』の111月号に彼の対談記事がありますからこちらもご参照ください。(清水)☆

     

    TIVONAの会 活動記録(108月-12月)

    ●勉強会:8/21,9/18,10/16,11/20『学習者によくわかる教え方』(竹園/吾妻公民館)●9/5:教室外活動-浅草・浜離宮(40名)●8/31,9/236期カピオ教室終了式 ●9/30,10/537期カピオ教室開講 ●日本語カフェ 10/24:「茨城の観光地」(20名、学院大)、11/26:「自転車スローライフ(つくば市出前講座)」(15名、インフォメセンター)、12/12:「和風の飾り」(16名、学院大)●11/10,113期インフォメ教室開講 ●12/12WebJEL補習授業(20名、ネットワークセンター)

     

    これからの予定

    ●勉強会:1/15,2/19,3/19 ●日本語カフェ:1/26 10:00-13:00「つくばの魚をおいしく食べる」口田局長(吾妻公民館)、2/22 10:00-13:00「おいしくお米を食べる・のり巻き」守中先生(吾妻公民館)●講演会:小林典子先生「分かることと使えることは違う」2/26 14:00-16:00(インフォメセンター) ●第3回日本語で話そう・つくばチャレンジ:2/5(つくば市役所)                      (事務局)

     

    ≪お知らせ≫

    『第3回日本語で話そう! つくばチャレンジ』が 201126日(日)930分から1600まで、つくば市役所会議室で行われます。つくば市、つくば国際交流協会主催で

    茨城県内に在住か在勤の15歳以上の日本語を勉強している外国人が参加できます。クラスの生徒やお知り合いの外国人に参加を進めてください。 日本語の勉強の励みになるし、豪華賞品も魅力的です。

    同時に審査員、進行ボランティアも募集しています。 詳しくはつくば市国際交流協会まで。

     

                            

    新しい仲間紹介   

    にほんご3

    高橋未来(たかはしみき)

     

     

     

    現在は筑波大学で準研究員をしています。もともとの専門は中国古典文学(唐詩)・中国語なのですが、上海での留学生活と帰国後の中国語講師の経験から、日本語を勉強し教授することにも関わりたいと思うようになりました。自分が経験した外国での生活の大変さや楽しさを思い出しながら、学習者の皆さんの気持ちになって、授業を行いたいと思っています。まだ慣れていないために先生方をハラハラさせてしまっていますが、多くのことを学んでいきたいです。

    にほんご4

    佐藤 正美

     

     

    まだ原野であった頃のつくば市に生まれ、土と戯れて育ち、研究学園都市発展の歴史と共に歩んできました。純粋な茨城人ですので、地場の事や難しい方言等のお問い合わせには、いつでもお受けします。また、マラソンが大好きな為、よく走っていて年齢の割に身が軽いです。つくばは、今 多くの外国人の方達が暮らす街になりました。そういう方々との国際交流において、日本文化をお伝えできる事は、素晴らしい事と想います。まだまだ勉強不足な点は否めませんが、頑張ろうと思います。

    にほんご4

    楊恒軒

     

    中国天津生まれ、土浦市在住の中国人です。日本語学校時代の先生の影響を受け、日本の文化、歴史そして日本語に大変興味を持ております。今回応募させていただきましたのは、生徒たちに日本語を教えるというより生徒たちと一緒に勉強し、日本語の教育を通して国際友好交流に参加し貢献したいと思ったからです。講座が開始して2ヵ月半経ちましたが、同クラスの田口先生や佐藤先生に甘えっばなしです。もっと勉強して本当の先生になれるように頑張りたいと思っております。

    日本語の会

    盛光 稔

     

     

     

    1月から日本語ボランティアに参加させていただいています。まだ始めたばかりですので、外国人の方々に日本語を教えると言うより、授業を通じて自分が教わる事ばかりです。私はあるきっかけから中国人と知り合いになり、その交際を通じて、日本語を外国人に教える事の難しさと、自分の知識不足を実感しました。これからは、経験豊かな先生方のお手伝いをしながら、たくさん経験を積んで早く皆様のお役にたてるようになりたいと思っています。

    にほんご1

    坂入 八重子

    日本語って簡単そうでとっても難しいですね。普段話している言葉が、いかにあいまいであり、日本人でありながら、一番日本語を分かっていないんじゃないかと思えるほどに私は日本語というものを無造作に使ってきたような気がします。初めて日本語を学ぶ生徒さんにふれ、言葉を教える事の難しさを感じています。ゆっくり、丁寧に話すこと、大切なんですね。にほんご1と共に私自身も成長できるようがんばります

     

     

    編集後記: 忘年会、クリスマスパーティといつものように12月が過ぎて行き、いよいよ、暮れも押し迫りました。何回、クラスで教えても一向に上手に教えられた、という実感が持てなかった今年ですが 来年こそは一皮むけて上手になれるかも。がんばろう~。 もっとも、顔の方は一皮、重なって厚くなりますが。(か)